【上海=多部田俊輔】中国通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)がスマートフォンの販売目標を下方修正した。同社の消費者向け端末事業グループの邵洋・首席戦略官が11日、「当初は10〜12月期に世界1位になる見込みだったが、現在の状況を見ると、もっと時間がかかるだろう」と発言した。

トランプ米政権が次世代通信規格「5G」で友好国にファーウェイの排除を求め、米商務省は5月にファーウェイへの事実上の輸出禁止措置を発動した。一部企業がファーウェイとの取引の見直しに動いている影響がじわりと出てきているもようだ。

邵氏は上海市で同日、開幕した中国の家電IT(情報技術)見本市「CESアジア」で講演した。具体的なスマホの販売台数の見通しについて明らかにしなかった。米調査会社IDCによると、1〜3月の世界出荷台数シェアで韓国サムスン電子に次ぐ2位だった。

ファーウェイは2018年に2億台を販売した。19年の販売目標については4月に2億5千万台と明らかにしたが、日本などで新型スマホの販売延期が起きている。邵氏は演説で「想定外の事態が発生した」としており、年間の販売目標を引き下げる可能性も出てきそうだ。

一方、邵氏は「任正非最高経営責任者(CEO)が話したように現在はファーウェイにとって危機を迎えたのではなく、最も良い状況だ」とも述べた。スマホに搭載する半導体についても「業界最高レベルとなった」などと自信を示した。

CESアジアはラスベガスで毎年始めに開催されるCESのアジア版。世界70カ国・地域以上から550社が参加し、5万人以上の来場を見込む。ファーウェイだけでなく、中国ネット大手の百度(バイドゥ)や日産自動車なども参加した。

2019/6/11 12:20
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45935320R10C19A6FFE000/