米CNBCの記者、トッド・ヘイゼルトンさんが5月17日「Googleはあなたの購入履歴を追跡するためにGmailを使っていて、削除するのは難しい」という記事を公開して話題になっています。

「Googleアカウント」の「購入」タブを見たら、なんと、自分がいつ何を購入したかのリストが、Googleから買ったものじゃなくても並んでいるではありませんかっと驚いています。

 まるでGoogleがこっそりやっていたかのような書きっぷりです。でも、Googleは何度も、どんなデータを何のために集めているかを説明しています。この購入タブは昨年6月に表示されるようになりましたが、Gmailでのデータ収集はもっと前からやっています。

 Googleさんは、プライバシーの取り組みについて説明する「セーフティセンター」でも「Googleのサービスを利用するとき、ユーザーの皆さんにはGoogleを信頼してデータを提供していただいています。ユーザーの役に立つサービスを提供するためにどのようなデータを収集し、どう利用しているのか、それらの透明性を高めることがGoogleの責任です」として、細かく説明しています。

これを読んでいれば、びっくりしないはずなのに、この記事がバズっているということは、読んでいない人が多いということでしょう。

 実際に見るとかなりなインパクトではあります。Amazonでの購入までリストに載っているので。これらの情報は、配送確認メールなどの履歴から抽出しています。Gmail以外のメールアカウントでオンラインショッピングしていても、そのメールをGmailで確認していれば、その情報も抽出されます。

 なので、もしGoogleに購入履歴を知られたくなければ、AmazonやメルカリではGmail以外のメールアカウントを使い、Gmail以外のメーラーで確認すればいいのです。

Googleは昔からずっと、ユーザーにプライバシーポリシーを読んでもらう努力をしてきました。例えば2010年にプライバシーポリシーを改定したときは、なんとか「普通の人」でも理解できるようにがんばりました。

 でも、普通の人は読みやすいかどうか以前に、そもそもプライバシーポリシーを読んでくれないようです。

 Googleは、個人情報を集めていないなんて言ったことはありません。集めてるけど、(営利企業ですから)そりゃあそれを広告のために使ってもいるけど、本当にそれがユーザーにとって便利なサービスにつながるんだ、とずっと言い続けています。

 今年のGoogle I/Oでも、プライバシーを大切にしていることを強調したけれど、それは(Appleのように)個人データを集めないということではなく、集めるけど、慎重に扱う、とちゃんと説明しました。

Google I/Oに合わせて公開した公式ブログでも、「関連性の高い検索結果を表示することや、(Googleマップで)自宅への最短ルートを提示することなど、Googleのサービスをより便利にするためにデータが重要」で、「ユーザーである皆さんが自分のデータについて理解し、管理できる必要がある」と語っています。

 実際、プライバシーポリシーを読んだ上でGoogleにほぼ降伏している私(広告内の共有おすすめ情報はオフにしてる)は、どんどん便利になっていると実感しています。

 CNBCのヘイゼルトンさんは、自分の購入履歴がずらっと並んでいることにびっくりしたようですが、Gmailから購入履歴やホテルやフライトの予約情報を集めることは、Googleがはっきり表明していることです。

ヘイゼルトンさんはさらに、この購入のリストを消すにはGmailのメールも消すことになることに驚いていますが、購入リストはGmailから集めている情報をユーザーのために可視化しているだけなので、リストを消すにはGmailのメールを消さなければならないのは当然です。

 Googleアカウントは、何を集めているかをユーザーにより分かりやすくするためのものです。「購入」だけでなく、Googleアシスタントとの会話履歴もここで確認できます。Android端末を使っていて、位置情報を有効にしていれば、自分がいつどこに行ってそこでどんな写真を撮影したかもすべて、Googleさんはお見通しです。

 それをできるだけユーザーにも分かってもらおうとしているだけ、Googleさんは、まだましなんじゃないでしょうか。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1905/19/news014.html