【ニューヨーク=宮本岳則】13日の米国株式市場ではダウ工業株30種平均が反落し、前週末比617ドル38セント(2.37%)安の2万5324ドル99セントで取引を終えた。終日売り優勢の展開で、下げ幅は今年2番目の大きさとなった。米中による制裁関税の応酬で両国が近く包括的な合意に達するとの期待が後退。投資家がいったんリスク回避に動いた。特に米アップルなど貿易摩擦の影響を受けやすい銘柄の下げが目立った。

NYダウ
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13日の米国株相場は電力など公益事業株を除き、ほぼ全面安の展開となった。下げ幅は一時700ドルを超える場面もあった。この日は中国政府が米国からの輸入品に報復関税を課す方針を発表。米プルデンシャル・ファイナンシャルのクインシー・クロスビー氏は「米中が近日中に交渉のテーブルに戻る可能性が低下したことが嫌気された」と指摘する。投資家は対立長期化を見据え、株式の持ち高を落としたほか、外部環境に業績が左右されにくい公益株にマネーを移した。

ダウ平均の構成銘柄で最も下落率が大きかったのは米アップルで、前週末比6%安まで売り込まれた。米トランプ政権は取引終了後に中国製品すべてに追加関税を課す「第4弾」の詳細を発表した。リストには中国で生産する同社のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」も含まれ、市場では業績への影響が警戒されている。

米国の市場参加者の間では「第4弾」の影響を見極めたいといった雰囲気が強まった。米モルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン氏は「中国からのすべての輸入品に25%の制裁関税が課せられれば、コスト高を招き、米国の景気後退入りの可能性が高まる」と指摘する。この日の株式市場でも米建機大手キャタピラーや米化学大手ダウなど世界景気に業績が左右されやすい銘柄への売りがかさんだ。

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13日、ダウ平均は一時700ドル超下落した(ニューヨーク証券取引所)=ロイター

投資家のリスク回避は原油先物市場にも波及した。13日のニューヨーク・マーカンタイル取引所で原油先物相場は3日続落した。一方、米債券市場では安全な資産とされる米国債に買いが集まった。長期金利の指標となる米10年物国債利回りは一時、2.4%を下回り、3月以来の水準に低下(債券価格は上昇)した。外国為替市場では円買いが膨らんだ。円は対ドルで一時109円05銭前後と2月上旬以来の円高・ドル安水準を付けた。

2019/5/14 5:27 (2019/5/14 9:55更新)
日本経済新聞
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