エアバスA380は、最大800人以上が搭乗可能な世界最大の旅客機。価格は4億4560万ドル(約490億円)、世界で最も高価な旅客機でもある。

巨大な総2階建てのA380は、現代のエンジニアリングの粋を結集し、ボーイング747ジャンボジェットに挑むために作られた。

だがエアバスにとって残念なことに、20年以上前に考案された時に同社がA380に期待したようなゲームチェンジャーにはなり得なかった。特に経済性が問題となった。

エアバスはここ数年、A380を購入してくれる航空会社を見つけることに苦戦してきた。そしてついに2019年はじめ、同社はA380の生産を2021年に終了すると発表した。

結局のところ、A380は価格もサイズも、現代の航空会社にとっては、単に大き過ぎたのかもしれない。

アメリカン航空のプランニング担当バイスプレジデント、バス・ラジャ(Vasu Raja)氏によると、エアバスA380は世界最大の航空会社にさえも大き過ぎた。アメリカン航空は956機を保有している。

「ボーイング777-300が我々のネットワークにフィットする最大サイズの旅客機」とラジャ氏はBusiness Insiderに語った。

アメリカン航空のボーイング777-300ERは304席。比較すると、ブリティッシュ・エアウェイズのA380は165席多く、さらにエミレーツ航空のA380の中には300席以上多い機体もある。

A380のような旅客機は「巨大ハブ空港」に多くの乗客を運ぶために作られた。乗客はハブ空港からさらにそれぞれの目的地へと向かう。世界中の多くの航空会社がこの戦略を取ってきた。例えば、エミレーツ航空のドバイ、シンガポール航空のチャンギ、カタール航空のドーハ、大韓航空の仁川がそれにあたる。

「ブリティッシュ・エアウェイズを例にとると、彼らにとっては、世界中の人々をロンドン・ヒースロー空港に集め、その先に送り出すことがすべて」とラジャ氏。

「ブリティッシュ・エアウェイズはおそらく、A380が経済的合理性を持つ唯一の航空会社。同じ理由で彼らはボーイング747の最大の運航会社でもある」

アメリカン航空のグローバル・ネットワーク戦略の責任者であるラジャ氏によると、アメリカン航空のマルチハブ戦略にA380は当てはまらない。

「現実として、我々はすべての乗客を1つのハブに集めることはできない。我々はアメリカ国内に9つのハブを抱えている。つまり、毎日、1便500人もの乗客をさばき、機能させることができるハブはない」

さらに同氏は「仮にそれができ、数路線でやるとしても、旅客機を20〜30機、いや40機購入するには不十分。航空機を保有するにはインフラを整える必要があり、それをカバーしきれない」と同氏は付け加えた。

A380の問題の核心はここにある。

航空会社が旅客機を購入する時、投資は旅客機だけに留まらない。

「最初の問題は、我々が旅客機を購入する場合はいつでも、特に新しいタイプの旅客機の場合は、膨大なインフラの整備が必要になるということ。一定数以上の専用パイロット、パイロットのトレーニング体制、メンテナンス体制、メンテナンスプログラムの整備、一定量のスペアパーツなどを整える必要がある」とラジャ氏は述べた。

「これらにはすべて膨大な固定費がかかる。だから、数を揃えてスケールメリットを出さなければならない」

結局、A380のコスト、必要なインフラ、喚起しなければならない需要の大きさから、A380はアメリカン航空にとって大き過ぎるリスクとなってしまった。

「そうした需要とコストをカバーできる場所を見つけることは難しい」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190429-00010000-binsider-int