シャープは有機ELの車載パネルを2021年度にも投入する。現在は大半が液晶を採用する車載パネルでも、今後は曲面の形状にしやすい有機ELの普及が進むとみられる。韓国サムスン電子などが有機EL市場で高いシェアを握るなか、後発のシャープは液晶と合わせた幅広い提案力で対抗する。

10日、都内で開いた製品展示会で有機ELの車載パネルの試作品を公開した。サイズは12.3型で、液晶と異なりバックライトと呼ばれる部材が不要なため薄くできる。シャープが既に液晶パネルを供給する自動車メーカーに対して有機ELパネルも供給する見込み。

シャープは堺事業所(堺市)で有機ELの少量生産を始めており、自社のスマホ「アクオス ゼロ」に搭載している。車載パネルに使う有機ELも同事業所で生産する。

同日、折り畳み可能なスマホ型の有機ELの模型も公開した。6.18型のスマホを上下に折り畳めるデザインで、技術的には30万回の折り曲げに耐えられるという。シャープは折り畳みスマホの投入時期について明言していない。

有機ELの価格はまだ液晶に比べて高いものの、サムスンが4月下旬にも折り畳めるスマホを発売するなど普及が加速しそうだ。シャープは液晶テレビで高精細な「8K」分野の浸透を急ぎつつ、有機ELでは車載やスマホ分野への対応も進める方針だ。
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