【ワシントン=河浪武史】トランプ米大統領は9日、欧州連合(EU)が航空機大手のエアバスに支給する補助金が不当だとして「110億ドル(約1兆2千億円)分のEU製品に関税を課すつもりだ」と表明した。米通商代表部(USTR)も8日にEUへの報復関税の準備に入ると発表しており、米欧の貿易摩擦が強まる懸念がある。

トランプ氏はEUに強い不満を表明した(4月の演説)=AP
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トランプ氏はツイッターに「EUは貿易面で米国を長年出し抜いてきた」などと投稿して、EUへの強い不満を表明した。米国は巨額の貿易赤字を抱える中国と通商交渉を進め、日本とも近く貿易交渉を開始する。ただ、EUとは農業市場の開放を巡って事前協議が難航し、本格交渉のメドが立たない。トランプ氏は制裁関税を材料にEUへの圧力を強めており、貿易戦争が欧州に飛び火するリスクがある。

米欧は航空機への補助金を巡り対立が続く。EUも米ボーイングへの米国の補助金が不当だとして世界貿易機関(WTO)に提訴し、2019年3月にEUの主張が認められたばかりだ。

2019/4/10 0:24
日本経済新聞
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