集英社と講談社は8日、両社が発行するマンガ雑誌「週刊少年ジャンプ」と「週刊少年マガジン」などの連載作品をインターネットで共同配信すると発表した。両雑誌は長年、発行部数でしのぎを削ってきたライバル同士だが、出版不況が続く中、部数が低迷している。連載作品を期間限定で無料配信し、消費者に関心を持ってもらう狙いだ。ライバル雑誌の苦肉の連携策は低迷する出版市場の起爆剤となるか注目が集まる。

8日から6月10日にかけて、ウェブサイト「少年ジャンマガ学園」を通じて150以上の連載作品を無料で配信する。対象はジャンプとマガジンに加え、「別冊少年マガジン」とウェブアプリの「少年ジャンプ+」「マガジンポケット」の5媒体。

「ワンピース」(週刊少年ジャンプ)や「七つの大罪」(週刊少年マガジン)などそれぞれの人気の連載作品を配信する。

22歳以下の若年層が対象で、最初にウェブサイトにアクセスする際に利用者が生まれた年を入力する仕組みだ。

両誌ともアプリなどを通じてそれぞれの連載作品を公開しているが、共同で連載作品を配信するのは初めてという。

週刊少年マガジンの栗田宏俊・編集長は「読み切れないほどのコンテンツを用意している。全国の若い人たちに漫画を楽しんでもらいたい」と述べた。

ライバル雑誌であるジャンプとマガジンが連携する背景には出版市場の縮小がある。出版業界の調査研究機関である出版科学研究所(東京・新宿)によると、2018年の紙の出版物の推定販売金額は17年比5.7%減の1兆2921億円。14年連続のマイナスとなり、ピークだった1996年(2兆6563億円)の半分を切った。

日本雑誌協会によると、週刊少年ジャンプと週刊少年マガジンに加え、週刊少年サンデーを合わせた3誌の1号当たり平均発行部数は、17年10月から18年9月までの1年間で約288万部。ジャンプ1誌で653万部あった1995年ごろと比べて77%も減っている。

一方で電子書籍市場は拡大。出版科学研究所によると、17年に電子化された漫画の単行本の市場規模(推定)は1711億円となり、初めて紙の漫画単行本(1666億円)を上回った。紙の漫画市場の低迷を電子で補う構図が続く。

少子化や趣味の多様化で若年層を中心に漫画離れが進む中、集英社と講談社は手を組むことで、若年層の需要を喚起し、少年漫画雑誌の活性化につなげたい考え。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43467740Y9A400C1000000/