【シリコンバレー=中西豊紀】米アマゾン・ドット・コムは4日、ジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)の離婚調停が成立し、同氏が引き続き筆頭株主に残ると発表した。ベゾス氏は約16%のアマゾン株を保有しているが、離婚に伴いその半分がマッケンジー夫人に分与されるとの観測があった。調停の結果ジェフ氏は持ち株の4分の1を夫人に譲る一方で議決権は現状を維持、経営の安定を確保する。

ジェフ氏は今年1月、26年連れ添ったマッケンジー氏との離婚を公表。夫妻が暮らす米ワシントン州には離婚後に財産を折半するという法律があることから、アマゾンの筆頭株主であるジェフ氏の株の分与の行方に注目が集まっていた。

アマゾンの発表や夫妻それぞれのツイートによると、マッケンジー氏は4%のアマゾン株を取得する一方で議決権はジェフ氏にわたすことで合意したという。結果としてジェフ氏は離婚前の議決権を維持しながら、12%を保有する筆頭株主として引き続き会社に対する最大の支配権を持つことになる。

あわせてジェフ氏は自身が経営するワシントン・ポスト紙と宇宙開発ベンチャーのブルーオリジンの経営権も確保。ビジネスマンとしての同氏の社会的な地位は今後も変わらないもようだ。

今後90日以内に財産分与と離婚の手続きを終える。マッケンジー氏は運用会社のバンガード・グループに次いでアマゾンの3位株主になる見込みだ。4日の時価総額で計算すると推定356億ドル(3兆9700億円)の資産を手にすることになる。小説家としても知られる同氏はツイッター上に「私自身のこれからの計画にわくわくしている」と記した。

ベゾス氏の離婚を巡っては、その原因となった不倫写真の漏洩でトランプ米大統領に近いタブロイドメディアが暗躍したとされている。3月30日には一部の米メディアがサウジアラビアの関与を指摘するなど政財界を巻き込んだスキャンダルに発展している。
2019/4/5 5:08
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43365530V00C19A4000000/