【シリコンバレー=白石武志】ソフトバンクグループなどの企業連合が、米ライドシェア最大手ウーバーテクノロジーズの自動運転技術部門に出資するため、同社と交渉していることが13日、明らかになった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。交渉では、同部門の企業価値を50億〜100億ドル(約5500億〜1兆1000億円)と評価しているという。

ウーバーは自動運転技術部門を分社する計画を持つとされる。WSJは「10兆円ファンド」として知られるソフトバンク・ビジョン・ファンドのほか、少なくとも自動車メーカー1社が分社する企業に出資するとしている。ウーバー本体にはソフトバンクが出資している。

外部からの資本を受け入れた場合でも同部門の過半の株式はウーバーが握り続ける見通しだが、交渉は流動的だ。ウーバーの広報担当者はコメントを拒んだ。

ウーバーは2018年3月に米アリゾナ州で起きた死亡事故の影響で、自動運転技術の開発が停滞している。同年8月にはウーバー本体がトヨタ自動車から5億ドルの出資を受け、ライドシェア専用の自動運転車両の共同開発で合意するなど外部との連携に活路を求めるようになっている。

ウーバーの18年通期決算では売上高が17年比43%増の113億ドルとなった。本業のもうけを示す修正EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は18億ドルの赤字だ。研究開発投資が先行している同部門が資金を受け入れることで、19年中と見込まれるウーバー本体の新規株式公開(IPO)に向けて潜在的な企業価値を株式市場にアピールする狙いとみられる。

米国では自動運転技術をめぐって、開発段階から商用化に向けた動きが加速している。資本提携を通じた陣営づくりが活発になっており、米ゼネラル・モーターズ(GM)の自動運転技術開発子会社、GMクルーズがソフトバンクグループやホンダの出資を受けた。独フォルクスワーゲンは米フォード・モーターの子会社に出資すると報じられている。
2019/3/14 10:05
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42438180U9A310C1EAF000/