みずほフィナンシャルグループは6日、今期(2019年3月期)の純利益予想を従来の5700億円から800億円に下方修正すると発表した。ブルームバーグが集計したアナリスト16人の今期純利益予想の平均5543億円を大幅に下回る見通しだ。

国内リテール事業部のソフトウエアや閉鎖予定店舗などの固定資産について約5000億円の減損損失を計上するほか、外国債券などの有価証券ポートフォリオを再構築するため有価証券売却損などで約1800億円の損失が発生するとしている。今期の年間配当予想は1株当たり7.5円と従来の水準を維持する。

同社は2017年11月に抜本的構造改革を発表。現在策定中の19年度を初年度とする次期経営計画で、ビジネス構造や財務構造、経営基盤の3つの改革を基本方針として今年5月に公表する見通しだ。同計画の策定過程で主要連結子会社のみずほ銀行、みずほ信託銀行、みずほ証券で計6800億円の損失を19年3月期決算で計上する見込みになったと説明している。

次期経営計画では、顧客ニーズの構造変化に対応し、経営資源配分などのミスマッチを解消し新ニーズへの対応を図るほか、柔軟な事業・収益構造を構築、社債などの市場環境の変動といった事業環境悪化のリスクに備えるなど財務基盤の強化や収益のボラティリティーの抑制を目指す。

格付投資情報センター(R&I)の久保太郎チーフアナリストは、みずほFGも含めた国内行全体でリテール事業の収益性が低下しており、それが長期化していることが大きな問題と指摘。「今回の固定資産の減損は、会計上それを全面的に織り込んできた」とみている。特にソフトウエアや店舗の件で減損損失の金額が大きく、来期以降、費用減少で利益の上振れ要因となるかもしれないと話した。

松井証券の田村晋一ストラテジストは株価への影響について、予想外の減損だったので短期的にはネガティブと指摘。次の決算発表で来期の業績予想が開示されるまではさえない水準が続くとの見通しを示した。さらに、マイナス金利の影響で銀行株が低迷する中で巨額の減損損失計上が発表されたことで「特に海外投資家の間で、みずほ外しが加速する可能性がある」と述べた。

坂井辰史社長と梅宮真最高財務責任者(CFO)が午後4時半から会見する。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-06/PNXLQI6TTDS101