台湾の航空大手、中華航空(チャイナエアライン)で8日、パイロットの労働組合がストライキを実施し、11日までに26便が欠航する見通しになった。労働条件を巡る労使交渉が決裂した。少なくとも4千人超の旅客に影響が出て、日本路線でも一部欠航が発生する。中華圏の春節(旧正月)で海外旅行客がピークを迎えたさなかのストに批判が高まるのは必至だ。

台湾の中央通信などによると、ストを主導したのは航空会社のパイロットでつくる「桃園市機師職業工会」。中華航空のパイロット計約2500人のうち、同労組に参加する700人程度がストに加わった。ストの期限は明らかにしていない。

ストは台湾の桃園、松山、高雄の3空港が対象で、日本の成田や北京、上海、香港、マニラなどと結ぶ路線で欠航が発生する。台湾は2〜10日まで春節の長期休暇で、海外旅行のラッシュ時のストは顧客の信用低下につながりかねない。同社では2016年にも客室乗務員のストが発生し、経営陣が刷新されていた。

労組側は昨年から過密な勤務シフトの緩和や深夜勤務手当の増額などを要求。会社側は「ストをATMにして金を引き出そうとしている」などと拒否し対立が先鋭化していた。同社の機長クラスの月給は30万台湾ドル(約106万円)以上だが、台湾メディアでは台湾のライバル長栄(エバー)航空などに及ばないことが背景との分析もある。

中華航空は株式の4割強を当局系の財団法人などが握り、林佳龍交通部長(交通相)らも仲裁に当たっていた。春節のストを防げなかったことで蔡英文政権の対応に批判が高まる可能性もある。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4106468008022019FFE000/