スポーツ用品大手のデサントは7日、同社に対して筆頭株主の伊藤忠商事が実施しているTOB(株式公開買い付け)への反対意見を表明した。資本の論理による圧力で経営陣の刷新などを求める同社に反発した形で、日本では異例の大企業同士による敵対的TOBに発展する。

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伊藤忠によるTOBにデサントは反対を表明した(7日午後、東京都豊島区)

伊藤忠は同日、デサントの表明に対し「TOBを粛々と進めていく」とコメントした。

デサントは同日の臨時取締役会で対応を決めた。10人いる取締役のうち伊藤忠出身は2人で、1人は欠席、1人は意見を留保した。

デサントは「伊藤忠の利益が優先され、当社の企業価値が毀損される可能性が高い」などと主張。韓国事業に過度に依存しているのに加えて日本事業は低迷し、中国事業の成長速度が遅いといった伊藤忠の指摘は「事実と異なる」とした。

伊藤忠はTOBで最大約200億円を投じて、デサント株の保有比率を3割から総会で重要事項への拒否権がある4割に引き上げる計画だ。TOB成立後に経営体制などについてデサント側と協議したいとしている。

伊藤忠が実施中のTOBの買い付け期間は3月14日まで。TOBが成立した場合、両社の協議の行方が焦点となる。伊藤忠は協議が不調に終われば、デサントの株主総会で株主提案を出す意向も示しており、委任状争奪戦まで発展する可能性もある。

2019/2/7 11:14 (2019/2/7 12:28更新)
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41001520X00C19A2MM0000/