日銀は10日、全国支店長会議でまとめた1月の地域経済報告(さくらリポート)で、全9地域のうち北海道と中国の2地域の景気判断を引き上げた。北海道と中国は前回2018年10月に地震や豪雨など自然災害の影響により判断を引き下げていた。ともに復旧・復興が進んでいる状況をふまえて今回判断を引き上げたという。

一方、各地域の景気判断については米中貿易摩擦をはじめとする海外経済の不確実性の影響について受注の下振れなどを指摘する声が徐々に増えているとした。現時点では限定的にとどまっているものの、「このところ中国からの受注が減少しており、米中貿易摩擦の影響による先行き不透明感が強まっている」(福岡の生産用機械)と先行きを不安視する声も多くあった。

北海道や中国での自然災害からの復旧・復興については、「旺盛な海外需要を背景に関西国際空港を経由した輸出もしっかりと増加している」(大阪の電気機械)との声があった。北海道の観光については「北海道ふっこう割」の効果により国内客を中心に回復しているという。

12月からの株価下落を受けて、「時計や宝飾品の販売は引き続き堅調ではあるが、美術品等の商談が長引くなど、株価下落の影響からか高額品への購買意欲がやや慎重化している」(広島の小売り)との声もあった。ただ各地域で個人消費の判断は不変で、消費の大勢への影響はみられていないという。

また10月に予定されている消費増税については、「消費増税を意識した動きは一部の人気車種でみられるが、駆け込み需要が本格化するのは、政府の消費増税対策が正式に決まった後とみている」(横浜の自動車販売)との声があった。

近畿については前回は景気判断を据え置いた上で「台風21号による経済活動面への影響がみられる」としていたが、今回は文言を削除した。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

2019/1/10 14:56
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL10HEH_Q9A110C1000000/