【ソウル=山田健一】韓国サムスン電子が8日発表した2018年10〜12月期連結決算の速報値は、営業利益が10兆8千億ウォン(約1兆500億円)と前年同期比29%減少した。同社の四半期ベースの営業利益が前年同期を下回るのは、16年7〜9月期以来、約2年ぶり。稼ぎ頭で、サーバーなどのデータを一時保存するDRAMの価格が下落に転じたことが響いた。

売上高は11%減の59兆ウォンだった。18年10〜12月期の純利益や事業部門別収益は、1月下旬に発表予定の確報値で公表する。

サムスンは18年10月の時点で、10〜12月期決算が減益になるとの見通しを明らかにしていた。韓国のアナリストの間では、10〜12月期の営業利益について13兆ウォン程度との見方が多かったが、市場の予想を下回る結果になった。

サムスンは8日、減益について「DRAMの価格が想定を上回るペースで悪化した」と説明。顧客のIT(情報技術)企業の一部で、今後の価格下落を見越した買い控えがあり、販売量自体も減少したとした。自社製スマートフォン(スマホ)の販売についても「マーケティング費用がかさんだ」としている。

16年7〜9月期に減益になった要因は、同年に発売した大画面の高級スマホ「ギャラクシーノート7」の発火事故に伴う一時的なものだった。一方で今回の減益理由であるDRAM価格の下落は、当面続く見通しだ。DRAMの好況を受けて17年から一本調子で拡大を続けてきたサムスンの経営は岐路に立った格好だ。

18年12月期通期の決算については、営業利益が58兆8900億ウォンと前の期比10%増えた。2年連続で過去最高を更新した。1〜9月期までDRAMが好況だったことが寄与した。

2019/1/8 9:49
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39739690Y9A100C1MM0000/