農家の高齢化と後継者難による深刻な人手不足で存続の危機が叫ばれる日本農業。政府が今月決定した外国人労働者の受け入れ拡大が働き手確保の決め手となるのか、あるいは人工知能(AI)を備えたロボット導入が新たな未来を切り開くのか、日本農業の救世主を探すために残された時間は多くない。

千葉県旭市でミニトマトのハウス栽培を営む角崎康滋さん(67)は、農繁期のみ雇っていた近所のパートタイマーが高齢化で集まらなくなった約10年前、中国人の技能実習生を初めて受け入れた。通年雇用に耐えうる経営にするために規模を拡大し、耕地面積は当時に比べ2.5倍超となる8000平方メートル、ハウスは2棟から5棟に増やした。

今ではベトナムから5人の技能実習生を雇い、ミニトマトの作付けから手入れ、収穫、パック詰めを行っている。農業経営の規模を拡大して効率化や価格低減を図るという国の政策の下、人手不足を補う外国人労働力は欠かせず、農家にとって「一度外国人労働力を使い始めたら、使わずにはいられない状況」と言う。

高齢化による離農が進み、農家の数が急速に減少する一方、離農者を引き継ぐ農家の大規模化が進んでおり、その働き手として外国人労働者は過去5年で1.7倍の3万人近くに膨らんだ。政府が来年度から新たな在留資格による外国人労働力の受け入れを決めた14業種中、初年度の受け入れ枠は農業が最も多い7300人。5年累計では13万人の人手不足が続き、2024年までに最大3万6500人の受け入れを見込む。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-20/PJB2RZ6TTDS401