【北京=原田逸策】中国国家統計局が19日発表した2018年7〜9月の国内総生産(GDP)は物価の変動を除く実質で前年同期より6.5%増えた。実質成長率は4〜6月より0.2ポイント縮小し、2期連続の減速となる。政府が進める企業や地方政府の債務削減でインフラ建設などが低迷した。米国との貿易戦争の影響も表れており、先行きはさらに下押し圧力が高まりそうだ。

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実質成長率はリーマン・ショックで経済が落ちこんだ2009年1〜3月期(6.4%)以来の低水準。18年の中国政府の目標(6.5%前後)と同じだった。日本経済新聞社と日経QUICKニュースが共同で実施した市場調査の平均(6.6%)を下回った。

前期比でみた成長率は1.6%で4〜6月(1.7%)から減速した。先進国のように前期比の伸び率を年率換算した成長率は6%台半ばとなった。景気の実感に近い名目成長率は前年同期比9.6%程度で4〜6月(9.8%)から減速した。

GDPとは別に19日に発表した経済統計では、工場やマンションの建設など固定資産投資は1〜9月に前年同期比5.4%増えた。伸び率は1〜6月(6.0%増)から減速した。道路や空港などインフラ投資の伸びが1〜6月の7.3%から1〜9月は3.3%に縮小したのが主因だ。

百貨店やスーパー、インターネット通販などを合計した社会消費品小売総額は1〜9月に前年同期比9.3%増えた。伸び率は1〜6月(9.4%)から減速した。9月単月では前年同月比9.2%増だった。家計調査でみた個人消費支出は実質で1〜9月に6.3%増えた。都市部より農村の消費が底堅い。

1〜9月の工業生産は実質で前年同期比6.4%増えた。伸び率は1〜6月(6.7%増)から縮小した。政府が国産化を進める半導体が好調だったほか、生産全体の動向を映す発電量も堅調だった。9月単月は前年同月比5.8%増えた。

輸出は底堅かった。ドルベースでは1〜9月に前年同期比12%増えた。通貨人民元の下落が追い風だった。輸入は同20%と大きく伸びたため、輸出から輸入を差し引いた純輸出は縮小した。

米中は7〜9月にお互いの製品に追加関税をかけあった。9月までは関税前の駆け込みで米国向けの輸出は堅調だったが、10月以降は反動減がありうる。景気の先行きを不安視し、一部の企業が設備投資を先送りしたとされるほか、車など高額の消費にも慎重になる傾向が出始めている。

10〜12月期は貿易戦争の打撃がさらに広がりそう。習近平(シー・ジンピン)指導部はすでに金融緩和に動いたほか、減税やインフラ投資の上積みも進めている。

2018/10/19 11:04
日本経済新聞
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