財務省が18日発表した9月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額が6兆7266億円となり前年同月比で1.2%減った。減少は2016年11月以来、1年10カ月ぶり。台風21号で関西国際空港が閉鎖されるなど、自然災害による物流や生産活動への打撃が大きかった。18年度上半期の貿易収支は2220億円の黒字だった。

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9月の関空経由の輸出は2336億円と前年同月比58.0%減と急減した。4日に上陸した台風21号の影響で滑走路が冠水し、飛行機での貨物輸送が数週間にわたり滞ったためだ。関西は電子部品産業が集積しており、生産活動や域内の物流も打撃を受け、供給網が乱れた。6日には北海道胆振東部地震もあり、北海道の輸出も285億円と1.9%減った。

地域別では中国向け輸出が1.7%減の1兆2627億円だった。春節の影響があった18年2月を除くと、16年10月以来の減少。半導体などの電子部品や携帯電話の部品などが減った。

米国向け輸出は1兆2944億円と0.2%減った。機械や自動車部品が減ったほか、鉄鋼は米国の関税引き上げの影響で数量ベースで5カ月連続で減った。

米中の貿易戦争の影響について財務省は「輸出入は国内外の経済の様々な影響を受けるので、特定の要因を取り上げるのは難しい」としている。ただ、みずほ証券の末広徹氏は「中国を中心に世界経済の下振れリスクが高まっている。(災害の影響のない)10月以降も貿易の伸び率は鈍くなりそうだ」と指摘する。

輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1396億円の黒字で3カ月ぶりの黒字となった。輸入額は7.0%増の6兆5871億円と6カ月連続で増加した。原油価格など商品相場が上昇し、原油や液化天然ガス(LNG)、ナフサの輸入額が増えた。

18年度上半期は世界経済の回復を背景に輸出が伸びたが、同時に原油価格の上昇を受けて輸入も膨らみ、黒字額は前年同期比88.1%の大幅減となった。年度半期ベースでの黒字は6期連続だった。

2018/10/18 11:08 (2018/10/18 12:12更新)
日本経済新聞
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