豊洲市場(東京・江東)の開場から18日で1週間。11日の初日は交通渋滞など混乱もあったが、その後はスムーズに船出した形だ。13日からは一般客の見学も始まり、家族連れや外国人観光客らが詰めかけ、2年遅れでようやく開場した新市場はにぎわいを見せている。

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豊洲市場の見学者専用通路からマグロのセリを眺める人たち(18日午前、東京都江東区)

「大きい」「ワーオ!」。18日早朝、豊洲市場の水産卸売場棟2階の見学者用通路から歓声が上がった。ガラス越しにマグロがずらりと並んだ1階のセリ場を見下ろせる。見学者は外国人観光客も目立つ。八王子市の小泉香さん(43)は「上から見るマグロのセリは壮観。設備も新しく清潔感がある」と話した。

展示されている小型運搬車「ターレ」や巨大マグロの模型と記念撮影したり、築地から移転した人気飲食店などには早朝から長い列ができたり。千葉県に住む40代女性は「混んでいるので、朝食ではなく昼食になってしまうかも」と話した。

見学は市場営業日の午前5時から午後5時まで。一般客の見学が始まった13日は約4万人が訪れており、市場関係者は「ガラガラだったらどうしようと心配していた」と胸をなで下ろす。2019年1月15日以降はマグロのセリ場に近い専用デッキでも見学でき、セリ人の独特の節回しが聞こえるなど臨場感を味わえるという。

ただ、市場周辺では一部の一般客の駐車マナーが問題となっている。豊洲市場には一般客の駐車場や駐輪場はないが、車や自転車で訪れて周辺の路上に止めるケースも散見されるという。市場職員が未明や日中に巡回するなどして注意しているが、担当者は「公共交通機関を利用してほしい」と呼びかけている。

一方、当初は混乱も見られた市場機能は順調にスタートしている。初日の11日は積み荷が集中して渋滞が発生し「駐車場に止めるまで一時間もかかった」との声も聞かれたが、積み荷の量が通常に戻った12日以降、渋滞は解消した。

豊洲は総面積で築地の1.7倍の広さ。仲卸「樋長」の飯田統一郎社長は、荷さばきの移動距離が長くなったため「築地の時よりも1時間早い午前3時半に来るようにしている」と話す。初日は店舗内でマグロを解体していると汗をかいたが、現在は温度管理が改善し、魚も築地の時よりも傷みにくくなっていると感じるという。

豊洲市場協会の幹部は「いろいろな心配があったが、今はほっとしているのが正直な気持ち。問題は互いに共有し、直すべきはすぐに直していく」と話している。

2018/10/18 8:59
日本経済新聞
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