Samsungは独自OS「Tizen」を開発しており、スマートフォンやスマートウォッチだけでなく、テレビなどのIoT家電にも搭載していく方針を示していました。ところが、SamsungはTizen搭載スマートフォンの開発から撤退すると報じられています。

これまでSamsungは、Tizenという共通のOSを自社のスマートフォンやIoT家電に搭載することで、異なるデバイス上で共通のユーザー体験を得られるように取り組んできました。一方で、Tizenは専門家から「アマチュアが書いたレベルのコード」という警告を受けるなど、自社OSの開発には多くの苦労もあった様子。

SamsungはTizen搭載のスマートフォンをこれまでに4機種発表してきましたが、インドや中国への進出が本格化するにつれて状況が変わったとのこと。インド中国ではAndroidの市場が大きく、それに対応するにはゆっくりとTizenの開発を進めているわけにはいかなくなってしまいました。

Androidの市場に対応するため、Samsungは2018年8月にAndroid搭載のスマートフォン「Samsung Galaxy J2 Core」をインドやマレーシアで発表し、新興国市場にAndroidで対応する動きを見せました。Androidの完成された市場に割り込むには自社OSをじっくりと開発しているわけにはいかず、スマートフォンにAndroidを搭載して市場に参加するしかないという判断です。

Samsungの関係者は、「現在開発中のTizen搭載スマートフォンはありません。2017年5月に発表した『Samsung Z4』が、事実上最後のTizen搭載スマートフォンとなるでしょう」と語りました。Tizenを完全に放棄するというわけではなく、今後も家電などのIoTデバイスにはTizenを搭載していく見込みであることから、完全にTizen搭載スマートフォンの望みが絶たれたというわけではありません。しかし、今後の開発期間等を考慮すれば、当分の間はTizen搭載スマートフォンが発表されることはないとのこと。

スマートフォンからは撤退するTizenですが、今後もIoT家電にはTizenを搭載して注力していく見込み。消費者は「家電のOSが何か」という点に興味を示さないため、いかに手持ちのスマートフォンとスムーズに連携し、不便さを感じさせずに利用できるかが重要だとしています。
2018年09月28日 11時07分
https://gigazine.net/news/20180928-samsung-stop-tizen-smartphone/