【シリコンバレー=中西豊紀】米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が8月に株式非公開化の計画をツイッターでつぶやきその後撤回した問題について、米証券取引委員会(SEC)は27日、同氏を証券詐欺罪で提訴した。実際には無かった計画を公表して投資家を混乱させた疑い。米国を代表する「スター起業家」はキャリアの大きな転機を迎えた。

ニューヨーク南部地区連邦地裁にSECが出した訴状で明らかになった。被告人はマスク氏個人で、同氏による8月7日のツイートを問題視。ツイートでは1株あたり420ドルでの非公開化計画を示し「資金は確保した」としていたが、SECは価格や原資について「議論も確定もしていなかった」と結論づけた。

同ツイートは株式市場で材料になり、7日のテスラ株は場中のツイート直前から6%以上上昇した。SECはマスク氏の誤解を与えるツイートが原因で、金銭的な被害が生じた投資家もいると見ており、米証券取引法に反すると判断した。

訴状ではマスク氏に民事上の罰金のほか公開企業の経営に関わることを禁じるよう求めている。テスラは上場しており、裁判の行方次第ではマスク氏の進退につながる可能性がある。テスラ広報は27日現時点で日本経済新聞社の問い合わせに回答していない。
2018/9/28 6:32
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35859300Y8A920C1000000/