2018年9月23日 16:06 日本経済新聞
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO35685170T20C18A9FF8000

【香港=木原雄士】香港と中国広東省の深圳や広州を結ぶ「広深港高速鉄道」が23日、全線開通した。中国本土の高速鉄道とも接続し、香港から上海や北京に乗り換えなしで行けるようになった。香港側の駅では中国政府の職員が出入境の審査を担う。利便性は高まるが、香港に高度な自治を保障した一国二制度と矛盾するとの批判もある。

これまで香港から広州に行くには在来線で2時間ほどかかったが、高速鉄道では最速47分に縮まる。香港政府トップの林鄭月娥行政長官は22日の記念式典で「高速鉄道によって地域間の相乗効果が高まり、発展の機会が広がる」と述べた。

金融都市である香港と新興企業が集まる深圳、自動車産業の中心地の広州が結びつきを強め、エリア全体の成長を底上げする狙いがある。中国政府は広東省と香港、マカオの一帯をベイエリアと呼んで経済的な連携を深める考え。香港とマカオを結ぶ海上橋も年内に開通する見通しだ。

香港やマカオを訪れる中国本土の観光客の増加や、広州や深圳の不動産価格の上昇を期待する声もある。ただ香港の民主派は中国側職員による出入境審査が法執行の分離を原則とする一国二制度に反すると反発する。23日は開業初日にもかかわらず列車に空席もみられた。