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■プーチンが発する2つのメッセージ
中国人民解放軍ロケット軍の元司令官であり、今春、習氏が昇格させた数人の忠誠派に数えられる魏鳳和国防相は4月にモスクワを訪問した際、米国に対しこんな明確なメッセージを送った。「中国側は、中ロ両軍の緊密な関係を米国に示すために来た」

米中央情報局(CIA)の元情報分析官であり、現在はシンクタンクの米戦略国際問題研究所(CSIS)に所属するクリストファー・ジョンソン氏によると、米国はこうした動きを特には気にしていないようだ。ロ中という隣接した超大国は、互いに信用していないため、接近しすぎることはありえないとの通説を今も信じ込んでいるからだという。だが、同氏は「最近までボストークの仮想敵国は確かに中国だったが、今は別の大国が仮想敵とされ、中国がえりすぐりの部隊をロシアとの軍事演習に送り込んでいる」と指摘する。

カーネギー国際平和財団モスクワセンターのアジアの専門家アレクサンドル・ガブエフ氏によると、ロシアの視点に立って見ると、プーチン氏の行動には2つのメッセージが込められているという。

一つは、中国に向けたものだ。対空ミサイルシステムS―400や戦闘機SU―35など、ロシアの最新の軍事技術を売りつけ、公式な同盟国ではないのに最大規模の軍事演習に招待することで、プーチン氏は中国をもはや脅威と見なしていないということを示そうとしている(これまでロシアの指導者たちは、中国がシベリアや極東の広大かつ人口密度の低い地域を手に入れようとするのではないかと恐れていた)。そして、中国はロシアの信頼を得たお返しに、米国の制裁による影響を相殺できる規模の資金を提供すべきだ、というわけだ。

※続きます。