コンビニエンスストア各社が書店一体型店舗の展開や取り扱い書籍の拡充に本腰を入れ始めた。インターネット通販の台頭に後継者不足が重なり、地方で書店の閉店が相次ぐ中、異なる客層を呼び込むだけでなく、飲料や食品の「ついで買い」を誘う。コンビニが書店の役割も果たすことで、飽和感が強まる市場に新風を吹き込んでおり、売り上げにも貢献しているようだ。

ファミリーマートは8月、佐賀県小城市に「ファミリーマート積文館書店三日月店」をオープン。店に入ると右手は通常のコンビニ、左手に書架がずらりと並ぶ。イートインスペースで飲食しながら買った本をゆっくり読んで過ごせる。

このファミマは、積文館書店(福岡市)などを傘下に持つ書籍取り次ぎ大手の日本出版販売(東京)との包括提携に基づく1号店。担当者は「書店は地域に根ざした業態でコンビニとの親和性が高い」と説明。主に書店を改装する手法で地域の需要に応じた多店舗展開を目指す。

ローソンは大手「文教堂書店」と組み、現在10の一体型店を展開している。「客1人当たりの購入額だけみても通常より平均100円多い」(担当者)と、ついで買いの効果は上々のようだ。

一体型店は比較的広い用地の確保など出店のハードルが高い。このため、ローソンは既存店に書籍専用棚の設置を進める作戦で、来年2月までに設置店数を現在の約3000から4000に増やす。セブン−イレブン・ジャパンが手掛ける雑誌の注文・取り置きサービスでは、園芸専門誌など大手書店以外では入手しにくい雑誌の販売が好調だ。

調査会社アルメディアによると、2018年5月時点の全国の書店数は約1万2000と、00年に比べ44%減少。取り次ぎ大手トーハン(東京)が昨年実施した調査では、書店が1軒もない市区町村の割合は全国で2割以上に増えている。(2018/09/08-16:25)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018090800424&;g=eco