2018年8月4日 8:32 日本経済新聞
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO33814840U8A800C1000000?s=2

【ニューヨーク=中山修志】中国が3日に表明した600億ドル(約6兆7000億円)相当の米製品への報復関税に対し、米国の政財界で反発が広がっている。対象には米国がエネルギー輸出の柱に据える液化天然ガス(LNG)が追加され、発動されれば関連企業への影響は避けられない。

米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長は3日の米FOXニュースの番組で、米中貿易摩擦について「トランプ米大統領は中国に厳しい姿勢で臨む決意だ」と強調した。同氏は「中国は米大統領を過小評価すべきではない」とも主張した。

トランプ氏は1日、2000億ドル分の中国製品に課す制裁関税第3弾について、税率を10%から25%に引き上げるよう指示。中国はこれに対し5207品目、600億ドル相当の米国製品に5〜25%の追加関税を課すと表明した。

産業界では米石油協会(API)が3日、「中国の報復は米国のエネルギー産業と雇用に打撃を与える」との声明を発表した。「米国のエネルギー生産と輸出を最大化する目標に反する通商政策を終わらせるよう、米政府に要請する」と訴えた。

中国が最高税率の25%の対象に加えたLNGは、米国にとって貿易赤字削減の切り札だ。「シェール革命」で低下した生産コストを武器に、米国はLNGの輸出を急拡大している。中国は第3位の輸出先で、2017年の輸出額は20億ドルと16年から倍増した。だが、中国の報復関税によって輸出の拡大基調にブレーキがかかる恐れがある。

このほか、5%の関税対象には米国の最大の輸出品である航空機が追加された。対象は15トン以下の中小型機で、ホンダ子会社が米国で生産するビジネスジェット機「ホンダジェット」は対象となる見通し。