→米3大自動車メーカーの今年の節税の3分の1から半分以上を相殺
→ブルームバーグ集計データと野村の試算が示した

貿易戦争が始まれば、法人税の大幅引き下げで企業が受ける恩恵の一部が帳消しになりかねないと、米国の実業界や共和党指導部さえもがトランプ米大統領に警告していた。そして今、実際どれだけのダメージになりえるのかを知らせる数字が一部、出てきた。

  ブルームバーグがまとめたデータと野村証券のアナリスト、アニンドヤ・ダス氏が提供した試算によると、トランプ政権が3月に発動した鉄鋼・アルミニウム関税がゼネラル・モーターズ(GM )とフォード・モーター、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の3大自動車メーカーに今年与える悪影響は、これらメーカーが1−3月(第1四半期)に得た節税分より大きくなる見通し。法人減税による恩恵が毎四半期に同程度あると想定すれば、18年全体の節税分の約3分の1から半分以上が鉄鋼・アルミ関税によって打ち消される可能性がある。

  ホンダの米政府・業界担当バイスプレジデント、エド・コーエン氏は「鉄鋼・アルミ関税は痛手だ」とし、税制改革には「経済活動の促進が意図されていたが、これでは経済に逆効果だ」と述べた。

  野村によると、フォードでは法人税率が21%に下がった結果、従来の税率(35%)適用時と比べ、1−3月利益で約2億840万ドル(約230億円)節税できた一方、鉄鋼・アルミ関税による18年のコストは約5億900万ドル。GMでは1−3月の節税分3億3900万ドル近くに対し、通期コストは4億9300万ドルに上る可能性があり、FCAでは1−3月の節税分を関税による通期コストが約1億ドル上回るという。

  これら試算は、減価償却や外国税額控除のほか、全体の税率に影響する可能性がある一時的な税費用・効果などの他の要素は考慮していない。ブルームバーグのデータは、米国が輸入鉄鋼に賦課した25%、アルミニウムへの10%の関税の影響のみを考慮に入れている。

原題:Car Companies Could See First Quarter Tax Boon Erased by Tariffs(抜粋)
https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-07-24/automakers-saved-on-tax-cuts-here-s-how-much-they-may-give-back

Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-07-25/PCE8P26TTDS201