トランプ米政権が検討している自動車の関税引き上げを巡り、商務省は19日、国内外の企業や外国政府の代表者を招いて公聴会を開いた。在米日本大使館の相川一俊特命全権公使は「日本からの輸入は米国の自動車産業を損なってはいない」と述べ、輸入制限に反対を表明した。欧州連合(EU)など各国・地域も軒並み異論を唱えた。

相川氏は「日本の自動車会社は米国で多くの雇用を生み出し、製造業の成長を支える重要な役割を果たしてきた」と強調。日系企業が2017年1月以降、少なくとも2万8千人の雇用を生む投資を発表したことを挙げて、米経済への貢献をアピールした。

商務省は輸入増が安全保障の脅威になっているとの理屈で輸入制限を検討するが、相川氏は「日本からの輸入は米国の安全保障を脅かしていないし、今後もそうならない」と訴えた。米国が輸入制限に踏み切れば、対米投資が冷え込む可能性があると警告した。

経団連の代表者は「日本企業が(輸入制限で)罰せられる可能性があるというのは残念だ」と再考を求めた。タイヤ大手の住友ゴム工業、トヨタ自動車グループのジェイテクトも懸念を表した。

米国の自動車業界に加え、メキシコや韓国などの外国政府や企業も相次いで輸入制限に反対した。EUやカナダは報復措置にも言及した。

ロス商務長官は公聴会の冒頭で「調査結果が最終的に(輸入制限の)提案につながるか、現時点で言うのは時期尚早だ」と述べ、調査結果を踏まえたうえで結論を出す姿勢をアピールした。

2018年7月20日 6:51 日本経済新聞
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