[パリ/ニューヨーク 10日 ロイター] - ファッションにおける中古品といえば、かつては古着屋に限定されていたものだが、いまや主要高級ブランド品市場でも、リユース売上高は突出した伸びを見せている。

ハイブランドの中古品を手掛ける米リセールサイト「ザ・リアルリアル」はその代表格であり、同社の順調なビジネス拡大は、国際的なブランド企業でさえ提携を模索するほどだ。

シャネルのハンドバッグからグッチのドレス、ロレックスの時計に至るまで、中古あるいはビンテージの高級ブランド品が、同社の専用ウェブサイト上で順調に売れている。こうしたサイトに集まるのは、お買い得な商品を探し、リサイクルを支持する若い顧客層だ。

リアルリアルは2年以内の株式上場に向けて準備を進めており、上場時点でのオンライン売上高は現在の約2倍、年間10億ドル(約1120億円)に達する見込みだと、創業者でもあるジュリー・ウェインライト最高経営責任者(CEO)はロイターに語った。

創業7年のリアルリアルは、ルイ・ヴィトンの親会社LVMH(LVMH.PA)やグッチを展開するケリング(PRTP.PA)などの最高級ブランドと、提携の可能性を巡り協議を進めていると、ウェインライトCEOは明らかにした。

自身の高級感が損なわれ、売り上げに響くことを懸念していた高級ブランド各社は、これまで中古品の流通に消極的だった。だが、いまや、年250億ドル規模にまで膨らんだ高級ブランドの中古品ビジネスを無視することが難しくなっている。

独ベレンベルクのアナリストによれば、同ビジネスは今後も年10%のペースで成長すると予想されており、このスピードは、はるかに規模の大きい新品市場における予想成長率の2倍以上だ。

これまでのところ、LVMHやケリングなどのブランド企業が独自に中古品ビジネス事業を計画している兆候はほとんどみられず、こうした企業が、急成長する同ビジネスからの収益機会を探ろうと、ビンテージサイトとの協議を進めているようだ、とリアルリアルや競合サイトの経営幹部は指摘する。

LVMHはコメント要請に回答しなかった。ケリングは「リアルリアルといろいろ試している」と述べるにとどまった。

<敵か味方か>

こうした売買サイトは、中古品が再販される価格の一定割合を自身の収益としている。その割合は、商品自体や、同サイトを通じた売主の販売履歴に応じて、10%から50%まで大きく変動する。

リアルリアルは、高級ブランド品市場に昨年参入した「スレッドアップ」や、既存業者の「ベスティエール・コレクティブ」など、好調な中古品市場で稼ごうとするライバルとの競争激化に直面している。

リアルリアルやライバル業者にとって、大手ブランドとの提携は認知度の上昇につながり、優位性を得る可能性がある。

提携協議の詳細については各社とも開示を拒んでいるが、ベスティエールのセバスチャン・ファーブルCEOなどによれば、どんな顧客が自社製品を売買しているのか、また商品価値がどの程度維持されるかなどについて、各ブランドが追跡できるようなデータ共有についても交渉が行われているという。

リアルリアルは英国ブランドのステラ・マッカートニーとすでに提携関係にあり、これも1つのモデルとして参考になるだろう。

ステラ・マッカートニーは自社商品のリサイクルを顧客に積極的に推奨しており、自社商品がリアルリアルのサイトで売れるたびに、自身の店舗で新商品を購入する際に使える100ドル分のクーポンを提供している。クーポン金額の半分はリアルリアルの負担だ。

中古品売買サイト側は、高級ブランド企業の大半が、独自路線を採るよりも、既存サイトとの戦略提携を選ぶものと期待している。その理由の1つは、中古品売買ビジネスのためのロジスティクスにひどく手間取る可能性があるからだ。

また、高級ブランド各社の売り上げが、中古品売買サイトによって脅かされるどころか、むしろ利益還流を助けているというサイト側の主張が、これまで以上に受け入れられるようになっているという。

リアルリアルのウェインライトCEOは、売り手が同社サイトで得た収入の約5分の1は、同サイトで新たな購入をするために使われており、かなりの比率が広くアパレル市場に環流している兆候だと語る。

「私たちはすでに、高級ブランドが脅威に感じるであろう地点を通過してしまった」と同CEOは言う。「多くのミレニアル世代にとって、高級ブランドを初めて体験するのは当社のサイトなのだ」
2018年7月14日 / 09:25
https://jp.reuters.com/article/luxury-vintage-idJPKBN1K214I