韓国はすでに10年以上の歴史を持つeスポーツ先進国。世界でプロ選手が活躍し、当たり前のようにeスポーツの観戦が行われています。タイトルによっては、実際のスポーツよりも人気が高く、テレビやインターネット動画配信で試合の様子を中継しています。まさにeスポーツが文化として根付いていると言っても過言ではありません。

eスポーツ先進国の韓国
今回、韓国のeスポーツを牽引しているeスポーツ専用テレビ局「OGN」のeスポーツ施設を取材する機会を得たので、韓国のeスポーツ事情について見聞きしてきました。

OGNは韓国ソウルにあるテレビ局で、会社が入っているOGN e-Stadiumにはいくつものeスポーツ用の会場があり、連日eスポーツの試合が開催されています。フロアによって行われているタイトルが違うので、ちょうどシネコンのように好きなタイトルのeスポーツスタジアムに足を運ぶような印象です。

eスポーツ用の会場は、見た目にはコンサートホールのような場所もあれば、50人の選手が一堂に会し試合ができるよう50台のPCがステージ上に並べられている会場もあり、その様相は圧巻です。タイトルによって使い分けられており、『PUBG』や『クラッシュ・ロワイヤル』『ブレイドアンドソウル』『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』などのタイトルが扱われています。

どの会場も観客席が用意されており、多くの観客が訪れています。入場料はだいたい4000ウォン(約400円)くらいで、映画や観劇、スポーツ観戦と比較するとかなり安めの設定です。有料化をしたのはここ2〜3年で、それ以前は無料で観戦できたそうです。そういった点では、韓国でもようやくeスポーツ観戦の有料化が実現し始めたと言えますが、OGNの場合は放送収益がメインとなるので、入場収入に関してはそれほど重視していないとのことでした。

eスポーツをどのように見せるか
韓国でeスポーツは一般的にもメジャーなスポーツととらえられており、観戦以外にもテレビや配信で視聴している人が多くいます。視聴しているメディアの割合としてはスマホでの視聴が40%、PCでの視聴が40%、テレビでの視聴が20%くらいとのこと。そう、テレビでもeスポーツの試合が放送されているわけです。

OGNでジェネラルマネージャーを務めるイム・テジュ氏に韓国でeスポーツがこれだけ流行した理由をお聞きしたところ、「eスポーツの試合を観る環境を作り、大ヒットするゲームが必要だ」と言います。そしてドラマチックな展開が視聴者を増やしていきました。

「OGNの財産となっているのは、eスポーツをどのように見せるかの演出や見せ方のノウハウです。テレビ局でいう副調整室で、試合の様子をどのように見せているかが重要です」(テジュ氏

以前、『LoL』の試合を見たときに、会場の大型モニターには今最も映すべき場面を写し、決定的な場面があった後にはスロー再生でその場面の解説をし、ずっとゲーム画面を映し出しているだけではないことがわかりました。同じ試合でも映像の作り方によって、視聴者の引き込み具合はまったく変わってきます。OGNは、長年eスポーツを放送してきたことにより、そのノウハウが資産になっているわけです。
https://toyokeizai.net/articles/-/226780