実業家の堀江貴文氏が創業に携わったロケット開発スタートアップのインターステラテクノロジズ(北海道大樹町)は30日午前5時30分、観測ロケット「MOMO(モモ)」2号機を同町の実験施設から打ち上げたが、発射直後に機体が炎上し、失敗した。けが人はない。2017年7月の初号機に続き連続の失敗で、民間企業単独でのロケット開発の難しさが露呈した。

 打ち上げ時刻にロケットは一旦打ち上がったが、数秒後にエンジンが停止し落下し炎上。轟音(ごうおん)と共に真っ赤な火柱が立ち上った。打ち上げは失敗した。稲川貴大社長ら約20人は、射場から約650メートル離れた指令所で打ち上げを指揮しており、けがはなかった。午前6時現在、安全確保を最優先に作業を続けている。

 炎上したモモ2号機は、エタノールを燃料にした全長10メートルの小型ロケット。高知工科大学の観測装置を載せていた。打ち上げから4分後に地上100キロメートル以上の宇宙空間に到達し、7分後に約50キロメートル離れた太平洋上に落下する計画だった。

 モモ2号機は、当初18年4月28日に打ち上げる予定だったものの、エンジンに燃料を供給するバルブ(栓)の不具合や天候不良などで見送っていた。初号機で発生した飛行中の機体破損を防ぐため、約1年かけて2号機を開発してきた。4月の不具合は改良点の設計ミスで発生した。

 モモは、初号機からコストを抑えるため、一般の電子製品などにも使う民生品を活用した。エンジンなどの基幹技術は、これまで世界で実績を持つものを活用した。今回は、打ち上げ後にエンジンの燃焼が止まったとみられ、エンジンに不具合があった可能性がある。

 インターステラは、元ライブドア社長の堀江貴文氏らが13年に立ち上げたスタートアップだ。05年に立ち上げた前身の団体を含めるとロケットの開発は18年で14年目。これまで宇宙空間に到達しないロケットなどで実績を重ねた。初の宇宙への挑戦だったが、技術開発の難しさの壁にぶつかった。(矢野摂士)
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2018/6/30 6:58
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