三越伊勢丹ホールディングスは、首都圏8店で正月以外の定休日をなくす。杉江俊彦社長が25日、明らかにした。大西洋前社長時代の2011年に、従業員らの負担軽減のため定休日を2月と8月に数日ずつ導入したが、これを今年8月から撤回する。売上高の引き上げを狙う。

 杉江社長は「定休日と知らずに来店し、がっかりする方も多い。訪日外国人客も増えており、売り上げを取りに行きたい」と話した。

 今後3年間の設備投資はこれまでより3割多い約1500億円に引き上げる方針という。このうち約250億円を、東京都心の伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店の改装に投じる。

 三越日本橋本店では高級ブランドを強化し、富裕層向けのラウンジを設置。好みに沿った商品をブランドを越えて提案できる販売員の付き添いを、来店前に予約できるようにする。こうした接客は、ほかの店への導入も検討する。

 会社全体の顧客情報のシステムなどデジタル事業に約200億円を投じる。店頭でのクレジットカードを使った買い物、オンラインでの買い物、サイズや好みといった情報を顧客ごとにまとめる。ベテラン販売員らの記憶頼みだった百貨店らしい接客を、システムで支える。

 「情報が増え過ぎ、お客様は何を信頼していいか分からなくなっている。専門知識を持つ販売員がお客様と一緒に館内を歩き、ぴったりのものを選ぶ接客にする」と杉江社長は話す。

 ホールディングスなどの組織を4月に改編し、約350あった部長級ポストを約200に削減。役職を外した従業員の給料を引き下げた。

 杉江社長は「管理職が多過ぎて組織が縦割りになり、連携が取りづらかった。人件費削減ではない」と話した。

 昨秋に実施した早期退職は同じ条件で2020年度まで続ける方針だ。この制度での退職者は、800人〜1200人を想定している。(高橋末菜)
2018年6月25日19時36分
https://www.asahi.com/articles/ASL6T4305L6TULFA007.html