世耕弘成経済産業相は12日の閣議後の記者会見で、米政府によるプルトニウム削減要求に関し「適切な利用と管理については政府・電力事業者を含めた日本全体で取り組むべき課題だ。具体的にどう取り組むかはまずは事業者が検討すべきだが、経産省としても取り組みをよくみていきたい」と述べた。政府はすでに電気事業連合会に対応を要請している。

 原発から出る使用済み核燃料の再処理で生じるプルトニウムをめぐっては、2011年の福島第1原発事故以降、原発再稼働が停滞した影響で再利用されずにたまり続けている。米国は核不拡散の観点から対応を求めている。

 菅義偉官房長官は記者会見で、米国からの要請について「相手国との関係もあり詳細は控えたい」と述べるにとどめた。一方で「政府として『利用目的のないプルトニウムは持たない』との原則を引き続き堅持するよう適切に対応する。国際社会に対しても丁寧に、説得力のある説明をしていく」と強調した。

 日本のプルトニウム管理を担う原子力委員会はプルトニウム保有量を減らし、現在の水準は超えないとの方針を6月中にも決める方向で調整している。松山政司科学技術相は記者会見で「プルトニウム利用の基本的な考え方の改定に向けて議論している。利用と回収のバランスをはかっていく」と述べた。

2018/6/12 11:52
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31643780S8A610C1EAF000/