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都道府県別のランキングはたくさんあるが、ありそうでないのが、町ごとの比較データ。そこで本誌は多角的に検証し、偏差値を割り出した。さて、この結果、意外か、順当か。あなたはどう思う?

ケチの名古屋に異変が
世界有数のメガロポリス、東京。世界中からモノとカネが集まる巨大都市だが、その実態は、地方出身者の寄せ集めだ。そこで暮らす人たちは、他の地方に対して密かな対抗心を抱えながら、日々過ごしている。

一方の地方都市に住む人たちも、東京には敵わないと認めつつも、他の町には負けていないという思いを強く持ちながら生きているはずだ。

では、実際、東京を除くどの町が「スゴい」のか。本誌は、所得・学力・寿命など、20大都市の数値を多角的に比較。ランキングを集計し、町の「偏差値」を算出した。さらに地価と比較することで、お得な町がどこかも見えてくる。

まずは各都市の懐具合から見ていこう。

年間所得750万円、貯蓄額2998万円と2位以下を圧倒的に引き離してトップを独走するのは、横浜市だ。富裕層が住むことから、地価も32万3781円(公示地価と基準地価の平均値、1平方メートルあたり、以下同)と高止まりしている。

『ケンミンまるごと大調査』などの著書があるディグラム・ラボ代表の木原誠太郎氏が解説する。

「横浜はおしゃれな人が多いのですが、収入が多いからといって不要なものを買うなどの散財をすることはありません。

年間所得は横浜市に続き、さいたま市、川崎市と続きますが、東京へのアクセスが良いことが理由として考えられます。東京で高収入を得ている人が住んでいるわけです。

福岡市の年間所得が次いで高いのは、日本各地やアジアからビジネスマンや観光客が集まり、活気づいている都市だから。

転勤者が福岡市に赴任するや、本社に帰りたくなくなる『福岡ブラックホール説』があるように、住みやすくて食事もおいしいと人気です」

貯蓄が多い町で3位にランクインしたのが、関西の港町、神戸市だ。その理由を、県民性に詳しい、ナンバーワン戦略研究所代表の矢野新一氏がこう分析する。

「年間所得こそ大したことはありませんが、貯蓄額が大きいため、キャッシュフローではなくストックが豊かな町と言えます。ガツガツ稼いでいるわけではないが、人々は豊かに暮らしている。神戸のイメージがいいのもそのためです」

名古屋人はケチ。そう言われるし、トヨタなどの日本を代表する企業も存在するが、年間所得は8位、貯蓄額は6位と低迷した。矢野氏が続ける。

「名古屋といえば、とにかくおカネに細かい印象でしたが、最近は余裕が出てきたようで、スマートにおカネをつかうようになってきています。

これまではトヨタであっても自動車がいつ売れなくなるかわからないという不安がありましたが、トヨタが世界一稼ぐ自動車メーカーになり、自信がついたのではないか」

ただし、名古屋市は好況に沸くため、地価は37万6351円と、横浜市以上に高騰。物価もそれにつれて上昇するため、貯蓄はもう少し増やしたいところだ。

文化度に目を転じると、人口10万人あたりの図書館の数で首位に躍り出たのは、浜松市だった。楽器大手のヤマハが本社を構えることから、駅前に日本唯一となる公立の楽器博物館を構えるなど、文化振興にも意欲的だ。
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