三菱マテリアルは8日、日本工業規格(JIS)に適合しないコンクリート原料を出荷していたと発表した。4月23日に認証機関から指摘があり、JIS製品の出荷を停止しているという。同社は2月から実施した臨時の品質監査でこうした問題を把握していたが、公表していなかった。

 同社では2017年11月に品質データ改ざん問題が発覚。子会社5社の不正で述べ800社以上に問題の製品を出荷していたことが明らかになっている。三菱マテ本体で品質を巡る問題が判明するのは初めて。

 直島製錬所(香川県直島町)で生産したコンクリート用の骨材で、JIS規格から外れた製品を規格内として試験成績書に記載するなどしていたという。チェックを見落とした事例もあった。同社は「転記ミスやチェックミスであり、改ざんの意図はなかった」と説明している。

 三菱マテは品質データ改ざん問題を受け、本体とグループ会社の臨時監査を2月から実施、5月8日に終了している。三菱マテは「既に是正は完了した」と説明していたが、JIS認証機関による調査の結果、コンクリート用の骨材で試験回数が不足するなどの新たな問題が見つかったという。

 三菱マテは再発防止のため、4月から組織を見直すなどしてガバナンス体制を強化している。竹内章社長は続投を決めているが、グループ会社などから経営責任を巡って異論も出ている。本体でも製品の問題が見つかったことで、株主総会で丁寧な説明が求められそうだ。

2018/6/8 14:51
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31539250Y8A600C1TJC000/