カドカワ傘下のドワンゴは動画サイト「niconico(ニコニコ)」の新バージョンを6月28日に開始すると発表した。当初は新たな使い方を提案する新機能の強化を目指したが、要望の多かった安定性や画質の改善に主軸を置く。利用者の声にあわせた改善で、2年前から続く有料会員の減少を食い止める。

新バージョンでは配信用の通信帯域を毎秒730ギガ(ギガは10億)ビットから毎秒1400ギガビットに増強するほか、動画変換のシステムをソフトウエア処理からハードウエア処理へと切り替えて処理能力を2倍にする。従来は生放送の高画質での配信数に制限があったが新バージョンでは撤廃する。

使いやすさの改善については、ログイン不要で視聴できる番組を拡大するほか、トップページや動画の分類を整理して見やすくする。有料会員向けには、生放送の追いかけ再生機能を追加する。夏にかけて仮想空間で3Dキャラクターを動かすバーチャルユーチューバーなど配信者に有料のギフトを贈る「投げ銭」システムを導入する。

当初、新バージョンの開始時期は2017年10月としていたが、延期を繰り返していた。追加を予定していた新機能は、画質や安定性の改善を求める利用者の要望と異なるものだった。新バージョン投入の延期などの影響で有料会員数は2年前の256万人から18年3月には207万人に減少していた。

今後は「新バージョンのコンセプトを見直し、利用者の意見を取り入れて改善を目指す」(ドワンゴ)として、より快適に利用できるサービスを目指す。
2018/5/23 11:06
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30848890T20C18A5X35000/