東京 日本橋の上を通る首都高速道路を地下に移す区間は、JR東京駅の北側付近と江戸橋ジャンクション付近の間の1.2キロとすることが決まりました。

これは22日開かれた国土交通省と東京都、首都高速道路などで作る検討会で決まりました。

それによりますと、地下に移すのはJR東京駅の北側にある新常盤橋交差点付近と江戸橋ジャンクション付近の間の1.2キロの区間です。

工事に伴って、地上部分にも一部、新たに道路を建設する必要があるため、工事が必要な区間は全体で1.8キロになるということです。

地下に移すことが決まった区間は3つの地下鉄や上下水道、通信回線などが張りめぐらされているため、工事が難しく費用がかさむとされていますが、トンネルを掘る区間を短くするなどしてコストを抑える計画です。

関係者によりますと、費用は総額3000億円程度になる見通しで、ことしの夏までに総額を固め、国や東京都、首都高速道路などが負担の割合などを調整することにしています。

東京 日本橋の上を通る首都高速道路は東京オリンピック直前の昭和38年に完成しましたが、橋を覆うように架かっているため、歴史的な景観を損ねていると指摘されています。

針の穴に糸通す難工事
首都高速道路を地下に通すルートには地下鉄や水道管のほか電力や通信網が密集し、針の穴に糸を通すような難しい工事となります。

今回、高速道路を地下に通すエリアには東京メトロの半蔵門線と銀座線、都営地下鉄浅草線と、3つの地下鉄がそれぞれ異なる深さで走っています。

周辺には上下水道や電線のほか、電話やインターネット回線といった通信網が張りめぐらされ、関係者によりますと、ルートの選択肢は非常に限られていたということです。

このため地下に移す工事は、高速道路としての機能を維持しながら地下にあるインフラ設備に影響が出ないようにする必要があります。

さらに、ルートの上を流れる日本橋川への影響も考慮する必要があります。

このように今回の工事は、既存のさまざまな施設と折り合いをつけながら地下に高速道路を通す非常に難しい道路工事になると見られています。

このため工事の期間は少なくとも20年以上という長い時間をかけて行われる見通しです。
周辺で複数の再開発計画も
日本橋の周辺では複数の再開発計画が持ち上がっていて、首都高速道路の地下化に合わせて開発が進められる見通しです。

国土交通省によりますと、日本橋の周辺地域では合わせて6つの再開発計画が進められています。

最も進んでいるのが野村証券の本社などがある日本橋一丁目中地区で、地下5階、地上51階建ての高層ビルなどの建設が計画されています。
「本体工事」の着工は2021年度で、2025年度に完成する予定です。

このほか、八重洲一丁目北地区と日本橋室町一丁目地区でも地権者との調整や再開発の具体的な計画の検討が進められています。

検討会では、再開発を行う事業者に対し、容積率の緩和、つまりより大きなビルを建てられるようにするなどの優遇措置をとる代わりに、高速道路を地下に移す工事の費用の一部を負担するよう求めることを検討しています。
小池知事「費用負担はこれから」
東京都の小池知事は記者団に対し「日本橋の上を通る高速道路は1964年の前の東京大会の時に、できるだけ早く道路を造ろうということで作った。地下化することは見えない化の一環であり、都市に品格を与え、国際金融都市 東京にふさわしい」と述べました。

計画に関連する都の費用負担については「お金の話はこれから、コストがどれくらいかかるか計算しないといけないし、関係者がどれくらいになるかという課題がある。ただ、やりがいのあるテーマだ」と述べ、今後国などと調整を進める考えを示しました。
「空見えない ぜひ地下に」「費用抑えて」
日本橋の上を通る首都高速道路を地下に移すことについて、周辺を歩いている人たちに話を聞いたところ、景観のために賛成する意見や、工事の費用を抑えてほしいという意見が聞かれました。

70代の男性は「日本橋はお江戸東京の中心で、高速道路で空が見えないのはとても悲しい。ぜひ、地下に移すべきだ」と話していました。

50代の女性は「見上げてみると老朽化が進んでいて、橋の上から地下に移すことは防災の観点からもよいのではないか」と話していました。

会社員の男性は「これだけ大きな高速道路を地下に移すにはお金もかかる。税金を使うのだからきちんと費用を抑えてほしい」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180522/k10011448381000.html