DIAMOND online 2018.5.22
http://diamond.jp/articles/-/170628

『週刊ダイヤモンド』5月26日号の第1特集は「物流クライシス 送料ゼロが終わる日」。配送員の人手不足に
見舞われている宅配業界では、使える人は誰でも動員しようという動きが進んでいる。宅配業界に限らず、
外食チェーンでも「誰でも配達員」化が進行している。その旗手であるUber Eatsの配達員に
「週刊ダイヤモンド」記者が挑戦した。


正社員でもなければアルバイトですらないウーバーイーツの配達員

 シェアリングエコノミー界の横綱ウーバーが手掛ける、フードデリバリーサービスのウーバーイーツ。
2016年に日本でサービスが始まって以降、人手不足の悩みを抱える外食チェーンなどが救いの手を求め、
こぞって提携するなど勢いをつける。

 ウーバーイーツの配達員は正社員でもなければアルバイトですらない。自分の空き時間を活用して配達を請け負う、
普段は会社員や主婦、学生をしている一般人だ。ある利用者から「ドアを開けたら外国人がいた」という
“タレコミ”もあるほど、多様な配達員がいる。

 だが、いささかでも自らの口に入るものを運ぶ人が、得体の知れない人物というのでは心持ちが悪い。

 そこで配達員の実態を知るべく、本誌記者が現場に“潜入”してみた。

 ……いや、潜入というのは少々盛ったかもしれない。配達員の登録はそれほどにオープンで簡単だからだ。


(中略)

登録された配達員は個人事業主どこまで保護されるのか

 結局、恵比寿を中心に、2時間で3件の配達をこなして得た報酬はわずか1716円。繁忙時間帯のブースト(割増)の
活用や、熟達して効率よく数をこなせるようになればもっと稼げるらしいが、運動不足の足はパンパンで限界。
出版社にも労基署の目が厳しくなっている昨今、休日残業手当の方がはるかに実入りがいいと思える。

 誰でも簡単に登録できるというのは、ウーバーが持つ利点の一つだし、サービスの質は、一律にマニュアル化して
教育するのではなく、相互評価システムによって担保しているというのもうなずける。だが、感じたのは、
誰でも非常にお気軽に配達員なれてしまうという怖さと、そうして登録された配達員がどこまで保護されるのか、
配達員自身はそれを理解しているのかという懸念でもある。

 ウーバーイーツのドライバーは個人事業主であり、言ってみれば経営者扱い。労働基準法の保護の対象外に
なってしまう。労働者のように最低賃金や労災補償といった保護はない。自転車利用の配達員に対しては、
対人対物の保険を適用しているというが、自分がけがをしたときに治療費が支払われるようなことはない。

 自己責任といえばそれまでだ。だが、本家の海外ライドシェアでは、こうした不透明な雇用関係やトラブル、
事故時の責任の所在といった問題点が指摘されている。英国では、ウーバーのドライバーを実質的な労働者として
認める判決もあり、ドライバーを保護する体制づくりが社会的に要請されつつある。

 各産業が渇望する配達員という労働力だが、きちんとした仕組みづくりと理解の共有がなければ、
労働力搾取の構造に陥るだろう。

(『週刊ダイヤモンド』物流クライシス特集取材班)


(全文は記事元参照。全3ページ)