【ワシントン=鳳山太成】トランプ米政権が華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の中国通信機器2社に対する新たな規制を検討していることが2日明らかになった。中国政府のスパイ活動に使われる恐れがあるとして、政府機関が両社の製品を調達するのを禁じる。複数の米メディアが報じた。米国は中国のハイテク企業への圧力を一段と強めている。

米中の貿易摩擦が激しくなる中、ムニューシン財務長官らは3〜4日、北京を訪れて中国政府と協議する。中国の不公正な貿易慣行に加えて、通信分野における安全保障上の問題も議題となる見通しだ。

米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)などによると、トランプ政権は政府機関が中国2社から通信機器を調達するのを禁じる大統領令を近く出す検討に入った。

これとは別に、国防総省はこのほど全世界にある米軍基地の携帯電話販売店に対し、ファーウェイとZTEの製品を売るのをやめるよう指示したという。米軍人が基地の外でファーウェイの製品を使うときも、セキュリティー上のリスクに注意を払うよう求めた。

与党・共和党議員は既に中国2社からの政府調達を禁じる法案を提出している。国防総省に限っては中国2社からの調達を禁じる法案が2017年12月に成立した。

中国のスパイ活動への懸念を巡っては、米連邦通信委員会(FCC)も4月17日、国内の通信会社に対し、安保上懸念のある外国企業からの製品調達を禁じる規制を導入する方針を決めた。中国2社を念頭に置いており、詳細を詰めている。

米国は両社のイランや北朝鮮とのつながりにも厳しい目を向けている。商務省は4月16日、ZTEがイランに米国製品を違法に輸出し、米政府にウソの説明をしていたとして米国企業との取引を7年間禁じる制裁を決めた。ファーウェイについても、司法省が同様の疑いで捜査していると伝えられている。

ファーウェイとZTEの製品を避ける動きは既にオバマ前政権のときから広がっている。米議会は12年、2社の通信機器が中国政府のスパイ活動に使われる恐れがあるとして、政府機関や米企業に対して2社の製品を使わないよう求めた。
2018/5/3 6:59
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30120710T00C18A5000000/