野田聖子総務相は、日本銀行の金融政策について「これ以上、異次元緩和は不要」であり、2%の物価目標は撤回すべきだとの考えを示した。金融政策についての考え方が安倍晋三首相との「一番大きな違い」とし、9月の自民党総裁選に出馬する場合は公約で自身の見解を盛り込む可能性を示した。

25日、ブルームバーグの単独インタビューで語った。2013年1月の政府と日銀による共同声明で定めた物価目標について「数値目標を立てることは誠実のように見える」が、その達成のために「ありとあらゆる異常な手段を使う」のは本末転倒だと指摘。経済が良くなれば結果としてなるものであって、「こだわりすぎてしまうと、本来の経済の活性化が逆に成し遂げられなくなる」と語った。

政府・日銀の共同声明は日銀が金融緩和を推進し、2%物価目標をできるだけ早期に実現することを目指すとしている。黒田東彦総裁は新たな任期に入った9日、官邸で安倍首相らと会談後、共同声明を堅持すると記者団に表明。同日夜の記者会見で、現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和を2%の物価安定目標の達成が「はっきりするまで続けていく」と述べ、早急な政策転換を否定している。

野田氏は金融政策、財政政策、成長戦略の3本の矢からなるアベノミクスによって、急激な円高を止めて結果として円安に誘導できたことは「評価する」としたが、長期国債の大規模購入など13年4月に開始した異次元緩和については「6年も7年も続けていいことではない」と指摘した。

異次元緩和の具体的な弊害としては、実質賃金が伸びていないという「当たり前のことがブレーキになって」肝心の個人消費が伸びていないことや、16年1月に導入されたマイナス金利が「マイナスの副作用として地銀などにダメージを与えている」ことを挙げた。

再任された黒田総裁に対しては「努力は十分評価する」としつつ、「踊り場に来ているような感じがする。そこは君子豹変(ひょうへん)す、で2%は撤回し、結果として2%になるような、さまざまな人に対する取り組みに向けていっていいのではないか」と語った。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-04-26/P7QP2M6JTSEL01