日本経済新聞 2018/4/24 22:47
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2980109024042018TJ3000/

 武田薬品工業は24日、アイルランドの製薬大手シャイアーの買収交渉について同社に対し
新しい条件を提案したと発表した。1株あたりの買収金額などを今回は明らかにしなかった。
同日、都内で取締役会を開き、新しい提案を議論したとみられる。ロンドン時間の25日午後5時
(日本時間26日午前1時)の期限に向け、交渉は大詰めを迎えている。

 シャイアーも24日、武田から提案を受けたと発表。新たな提案についてシャイアーの取締役会は
「(受けるかどうかの)立場を検討している」とし、態度を保留した。シャイアーはこれまで、
成長性などを過小評価しているとして、武田の提案を拒否していた。

 武田はすでに4度にわたり買収のための条件を提示。4月20日に示した条件では、シャイアーの企業価値を
1株あたり47ポンド相当(約7千円)、総額445億ポンド(約6兆7千億円)としていた。1株あたりの内訳は
現金(21ポンド)と武田の新株(26ポンド分)を組み合わせる方針だったが、これらを変更したもよう。

 今後は買収総額に加え、現金と株式の割合なども焦点となる。シャイアーの既存株主の中には英国株や欧州株に
投資先を限るファンドなどもいるとされる。武田の新株を割り当てた場合、機械的に売却され、株価を押し下げる
可能性も指摘されている。株主の意向を受け、シャイアーが現金の割合をより高めることを希望しているとの見方もある。

 武田は24日開いた取締役会の中でシャイアー買収交渉の状況を説明した。武田の取締役13人のうち、
8人が社外取締役だ。唯一の代表取締役であるクリストフ・ウェバー社長が主導する買収提案に対し、
理解を示したもようだ。

 買収には新株発行と現金が必要となるが、三井住友銀行など3メガ銀は、武田に対してつなぎ融資をする検討を開始。
各行は1兆円程度をめどとしている。実現すれば大手行が加わる協調融資としては過去最大規模になる。
手数料収入の面から欧米の金融機関も融資に関心を示しているとされる。

 今回の買収が成立すれば2016年にソフトバンクグループが買収した英半導体設計アーム・ホールディングスの
約3兆3千億円を上回り、国内企業として過去最大のM&A(合併・買収)となる。