日本経済新聞 2018/4/24 12:29
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29759910U8A420C1XQH000/
無人運転の実験用車両。利用者自身がスマホで荷物を受け取った(24日午前、神奈川県藤沢市)
https://www.nikkei.com/content/pic/20180424/96958A9F889DE0EBE5E7EBEBE3E2E0E6E2E6E0E2E3EA8A839AE2E2E2-DSXMZO2975988024042018XQH001-PB1-1.jpg


 ヤマトホールディングス(HD)傘下で宅配最大手のヤマト運輸とディー・エヌ・エー(DeNA)は24日、
宅配車両を自動運転で走行させる実験を、初めて神奈川県藤沢市で実施した。両社は昨年4月から
自動運転を見据え省人化した宅配便配送の実験を行ってきたが、従来は有人運転だった。自動運転を導入した際の
改善点を洗い出すのが、実験の狙い。

 湘南海岸に近い藤沢市内の各所で行われた。パナソニックが手掛ける住居中心の環境配慮型都市
「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン」では一部の公道を封鎖し、運転手が乗車しない無人状態で
自動運転車を走行させ、宅配利用者が荷物を受け取った。「無人でも(受け取りの際の)安全を確保できるのか
確認したかった」(ヤマト運輸の畠山和生設備管理部長)という。

 スマートタウンの外の公道約6キロメートルでは、安全確保のため運転手が着席しつつハンドルに触れない
自動運転を行った。また車両走行の円滑化に役立てるため、信号のデータを携帯電話網を介して車両で受信する技術の
実証実験も、日本信号と共同で実施した。実験は「成功した」(DeNAオートモーティブ事業本部の田中慎也氏)という。

 ヤマトとDeNAが17年4月から実施してきたのは、「ロボネコヤマト」と名付けた宅配などのサービス実験。
藤沢市内の特定地域でロッカーを載せた専用車両を走らせ、宅配便を受け取る人がスマートフォン(スマホ)で
あらかじめ指定した時間と場所で待ち、到着後ロッカーを自分で解錠して荷物を受け取る。

 運転手が受け渡ししないいわば「移動式宅配便ロッカー」であり、これだけでも省人化にはなる。
「運転手いらず」の自動運転技術を組み合わせてさらに一歩進め、人手不足対策の一つとして実用化の検討を加速する。