2018年3月23日にテスラ・モデルXを運転していたドライバーが事故で死亡したことが大きく報じられました。事故原因については調査中ですが、「テスラのオートパイロット機能は車線を誤認することがある」ということが多くのドライバーによって報告されています。しかし、テスラは事故について「ドライバーが車が発する警告に従わなかったこと」「ハンドルに手を置いていなかったこと」を主張しており、死亡したドライバーを非難するかのような声明を発表しています。

事故の詳細は以下の記事から読むことが可能です。テスラ・モデルXは2017年9月にもよく似た形で事故が起こっており、「オートパイロットをオンにしていると特定の時間帯に車両が勝手に中央分離帯めがけて走り出す」「太陽の光の状態で分岐路が車線と誤認される」ことがあることがわかっています。

事故にあったのはAppleでエンジニアとして働いていた38歳のWalter Huangさん。妻であるSevonneさんによると、Huangさんはそれまでにも「テスラのオートパイロットが同じ場所の障壁に向かって走り出す」ということを話しており、ニュースで事故の様子を見たSevonneさんは、すぐに事故を起こしたのがHuangさんだとわかったといいます。

テスラは事故の際にオートパイロットが使用されていたことを認めていますが、事故直前の6秒間、Huangさんがハンドルから手を離していたと発表しています。一方で、Huangさんの弟であるWillさんは、「Huangさんはハンドルから手を離すタイプではなかった。常に注意深いドライバーだった」と語っています。

そんな中、テスラは事故に関する声明を発表。

声明の内容は以下の通りです。

「あなた方の家族が失われたことを非常に残念に思います。

家族によりますと、Huangさんはオートパイロットが完璧ではないことに気づいており、特定の場所において特に信頼できないものとみていたそうですが、それにも関わらずHuangさんはその場所でオートパイロットを使用し続けました。事故が起こった日は晴れており、数百フィート先まで見渡すことができる状況でした。この状況下で事故が起こったのは、車が何度も注意を促したにも関わらず、Huangさんが道路に注意を払っていなかったからに他なりません。

道徳的・法的責任両方においての基本的前提として『背約』がありますが、ここには存在しません。テスラは、オートパイロットを使用する際にドライバーが注意を行うこと、そしてハンドルに手を置いていることを求めています。また、注意はオートパイロットを使う際には毎回行われます。もしドライバーの手がハンドルにないことをシステムが検知すれば、視覚的・聴覚的に警告が行われます。 Huangさんが運転を行った日も、何度も警告が行われました。

Huangさんのご家族がHuangさんの喪失に対して悲しみに暮れるのは当然であり、私たちも理解していますが、『オートパイロットは安全ではなく、路上で人を傷つける』というのは間違った印象です。米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は、初期のオートパイロット機能であっても通常よりも40%も事故が少なくなるということを結論づけており、しかもその時から機能は大きく進化しています。だからこそ、他の家族の愛する人々は生き続けており、ニュースになることもないのです」

テスラに対して訴訟を起こすことを決断したSevonneさんらは弁護士を雇い入れており、弁護士のMike Fongさんは上記の発表について「テスラはオートパイロットに対する家族の懸念から注意をそらすためにHuangさんを非難しています」「センサーは道路に描かれた車線を誤認し、システムは静止した物体を検知するのに失敗しています」と語っています。
https://gigazine.net/news/20180412-tesla-driver-deadly-crash/