日銀が2日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業・製造業でプラス24だった。前回2017年12月調査(プラス26)から2ポイント悪化した。悪化は2016年3月調査以来、8四半期ぶりとなる。原材料価格の高騰や金融市場の混乱が響いた。鉄鋼や非鉄金属などの悪化が目立った。

業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。3月の大企業・製造業DIは、QUICKがまとめた市場予想の中央値であるプラス25も下回った。回答期間は2月26日〜3月30日で、回収基準日は3月12日だった。

3カ月先の業況判断DIは大企業・製造業がプラス20と悪化する見通し。市場予想の中央値(プラス22)も下回った。米国の保護主義的な通商政策や株安・円高などを背景に慎重な見通しが多かった。

18年度の事業計画の前提となる想定為替レートは大企業・製造業で1ドル=109円66銭。17年度の実績見通しは110円67銭だった。

大企業・非製造業の現状の業況判断DIはプラス23と前回を2ポイント下回った。悪化は16年9月調査以来、6四半期ぶり。人手不足が響いた。3カ月先のDIは3ポイント悪化のプラス20だった。

中小企業は製造業が横ばいのプラス15、非製造業は1ポイント改善のプラス10だった。先行きはいずれも悪化を見込む。

大企業・全産業の雇用人員判断DIはマイナス22となり、前回(マイナス19)から低下した。DIは人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いたもので、26年ぶりのマイナス幅となった。

18年度の設備投資計画は大企業・全産業が前年度比2.3%増と、市場予想の中央値(0.6%増)を上回った。

大企業・製造業の販売価格DIはプラス4と前回のプラス1から上昇した。販売価格判断DIは、販売価格が「上昇」と答えた企業の割合から「下落」と答えた企業の割合を差し引いたもの。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
2018/4/2 9:06
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL02HWU_S8A400C1000000/