政府は27日、米国を除く環太平洋経済連携協定(TPP)参加11カ国で署名した新協定「TPP11」の承認案と関連法案を閣議決定した。今国会での成立を目指し、他の10カ国にも国内手続きの加速を呼びかける。早ければ年内にも発効させたい考えだ。

 茂木敏充経済財政・再生相は閣議後の記者会見で「日本が率先して動くことで早期発効に向けた機運を高めていきたい」と述べた。

 TPP11は日本、カナダ、メキシコ、チリ、ペルー、ベトナム、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、オーストラリア、ニュージーランドの11カ国が8日(日本時間9日)に署名した。11カ国のうち6カ国が議会承認などの国内手続きを終えれば60日後に発効する。

 TPP11は米国を含む12カ国で2016年に署名したオリジナル版TPPの内容のうち、ルール分野で米国の要求が通った22項目の効力を凍結した。関税削減の約束は維持した。農業支援や知的財産保護を盛り込んだ関連法案は内容をほぼ維持したうえで、施行日をTPP11の発効日にする。

 オリジナル版TPPの承認案と関連法案は130時間を超える国会審議を経て可決されたが、米国の離脱で発効できなくなった。今国会では学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書を財務省が改ざんした問題で野党が強く反発しており、TPP11の審議にも響く可能性がある。

2018/3/27 9:26 (2018/3/27 10:23更新)
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28616570X20C18A3EAF000/