iPhone XやiPhone 8などを含むiPhoneを1台あたり50ドル(約5200円)でロック解除するとうたう激安のロック解除システム「GrayKey」を、アメリカ国務省が購入したとMotherboardが報じています。

State Department Seemingly Buys $15,000 iPhone Cracking Tech GrayKey - Motherboard
https://motherboard.vice.com/en_us/article/kzxwwz/state-department-seemingly-buys-dollar15000-iphone-cracking-tech-graykey

GrayKey iPhone unlocker poses serious security concerns - Malwarebytes Labs | Malwarebytes Labs
https://blog.malwarebytes.com/security-world/2018/03/graykey-iphone-unlocker-poses-serious-security-concerns/

GrayKeyは、アメリカのベンチャー企業Grayshiftが開発したiPhoneのロック解除サービスで、その価格の安さから大きな話題を呼んでいました。なお、GrayshiftはNSAのハッキングツールを開発したEndgameから独立したデビッド・マイルズ氏によって2016年に設立された新興企業です。

Lightningケーブルが2本飛び出た専用のマシンにロック解除したいiPhoneを接続してロック解除を行います。同時に2台のiPhoneのロック解除が可能だとのこと。
https://i.gzn.jp/img/2018/03/26/state-department-buy-grayshift/a01_m.jpg

約2分間の接続の後、ロック解除が完了するとiPhoneの画面上にパスコードの番号が現れます。ロック解除までにかかる時間はパスコードの長さにもより、Grayshiftによると6桁のパスコードでは3日以上かかる場合があるとのこと。なお、Grayshiftを試したMalwarebytes Labsによると、約2時間後にロック番号が表示されたそうです。
https://i.gzn.jp/img/2018/03/26/state-department-buy-grayshift/a02_m.jpg

Malwarebytes LabsによるとiOS 11.2.5の端末でもロック解除が可能。

GrayKeyは専用マシンを使う無制限プランは3万ドル(約310万円)ですが、300台までの端末を1万5000ドル(約160万円)で解除できるオンラインプランも用意されており、この場合、1台あたり50ドル(約5200円)でiPhoneのロック解除が可能になります。

すでに、インディアナ州の警察署がGrayKey(オンラインプラン)を購入していたことが判明していましたが、新たに国務省がGrayKeyを購入していた事実をMotherboardが発見しています。価格は1万5000ドルでオンラインプランを購入した模様で、インディアナ州の警察が購入した時と同じ「computer and computer peripheral equipment(コンピューターとコンピューター周辺機器)」という名目での支出となっています。

かつてiPhoneのロックを解除するためにFBIはイスラエルのCellebriteに90万ドル(約1億円)を支払ったことが明らかになっています。これに比べると1台あたり約5000円のGrayKeyは激安と言え、iPhoneロック業界の価格競争を激化させる可能性があるとMotherboardは指摘しています。
https://gigazine.net/news/20180326-state-department-buy-grayshift/