【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)のクオールズ副議長は26日、ワシントンでの講演で「米景気の現状にかなり楽観的だ。先行きはいくらか上振れリスクがある」と経済情勢に強い自信をみせた。金融政策は「さらに段階的な利上げが適切だろう」と述べ、3月の次回会合で追加引き締めに踏み切る可能性を示唆した。

 クオールズ氏は金融規制担当の副議長としてトランプ米大統領に指名され、2017年秋に就任した。FRBは7席ある理事ポストのうち4つが空席で、パウエル新議長を補佐するクオールズ氏の影響力が相対的に高まっている。

 26日の講演では、トランプ政権の大型減税などを高く評価して「財政政策は今後数年の経済成長に相当な勢いを与えるだろう」と主張した。企業投資などを後押しすることで「経済見通しにはいくらかの上振れリスクがあると認められる」と述べた。

 強めの経済成長が続けば「金融緩和を取り除くため、政策金利も引き上げる必要がある」と述べ、利上げ路線を堅持する考えを強調した。景気拡大が続けば、景気を冷やさず過熱もさせない「中立金利」も上振れすると主張し、利上げペースを加速する可能性をにじませた。

 もっとも、停滞する物価動向については「経済成長が加速すればインフレに向かうと推測できるかもしれないが、確認すべき案件が多く残っている」と慎重姿勢を崩さなかった。労働参加率や生産性など、幅広い経済指標を見極めて引き締めペースを判断する考えだ。

 FRBはパウエル新議長も27日に下院金融サービス委員会で初めての議会証言に臨む。年3回の利上げを基本シナリオとしてきたが、株価が一時急落するなど市場には動揺もある。堅調な実体経済を重視して利上げ路線を強めるのか、市場に配慮して慎重姿勢をみせるのか。パウエル氏の発言次第で市場が再び揺さぶられる可能性もある。

2018/2/27 7:41
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27432010X20C18A2000000/