【バルセロナ=大西綾】携帯見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」の開幕に先立ち、韓国サムスン電子が最新のスマートフォン「S9」を3月16日から販売を始めると発表した。自分の顔から3Dの絵文字を作る機能に加え、カメラの性能を高めた。電池の発火問題をうけ昨年はスマホの発表を見送っており、鈍化の見え始めたスマホ市場での首位の維持を目指す。

同社でIT&モバイルコミュニケーション部門を統括するDJ・コー氏は「コミュニケーションの方法は電話に限らず多様化している」と話し、「写真を共有したり、絵文字を使ったサービスを使ったりすることも大切になっていく」と述べた。

今回発表したフラッグシップ機「S9」と「S9プラス」では人間の目の色を認識し最適な写真に仕上げ、複数の写真から自動で最もよい画像を選び出す。スローモーションでの動画を撮影でき、編集した映像をすぐに仲間と共有する機能もつけた。

S9シリーズと同じ高価格帯の端末とあってか、米アップルの最新スマホ「iPhoneX」を強く意識したと言えそうだ。iPhoneXではキャラクターを使った3D絵文字や顔を画面に向ければ認証できる「フェースID」が話題になった。

一方、サムスンのS9では自分の顔や表情から3Dの絵文字を作れ、SNS(交流サイト)から友人に送れる。スマホの認証には顔と虹彩を組み合わせることで、「セキュリティーの性能がライバルの機種より一段と高まるはず」(サムスン)という。ディスプレーのサイズはXと同様に5.8インチで、有機ELを使用する。

ただ、大半の機能はサムスン以外のスマホにも組み込まれており、S9の機能面に真新しさには欠けている。

米IDCによると2017年のスマホの出荷台数は0.6%減の14億7240万台。サムスンのシェアは21.6%と依然として首位を走るが、欧州やアジアでは中国の華為技術などの攻勢を受ける。踊り場を迎えたスマホ市場でシェアの拡大に向け、難しい局面に立たされている。
https://www.nikkei.com/content/pic/20180226/96958A9F889DE0E5E1EAE1E7E5E2E0E4E2E0E0E2E3EAE2E2E2E2E2E2-DSXMZO2738359026022018000001-PN1-2.jpg

2018/2/26 5:44
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27383570W8A220C1000000/