【ロンドン=小滝麻理子】英政府は21日、欧州連合(EU)離脱後の激変緩和策である「移行期間」について、将来のEUとの通商関係の準備状況などに応じて、期間を決めるべきだとの考えを示した。約2年間との従来方針を維持しつつ、必要に応じて延長できる仕組みを求めた形だ。EU側は反発しており、移行期間で合意できない恐れも生じている。

 2019年3月の離脱時期を見据え、英とEUは3月末のEU首脳会議で移行期間の合意を目指している。

 EU側は遅くとも20年12月31日までに移行期間を終了すべきだとの方針を示してきた。これに対して英側が21日に示した文書では、「移行期間を約2年にする点は合意するが、終了日を定めた判断について話し合いたい」と訴えた。

 英とEUの将来の自由貿易協定(FTA)交渉は3〜5年かかるとみられており、産業界からは2年の移行期間は短いとの声も出ている。英政府は移行期間の延長を可能にすることで、十分な準備や新制度導入の時間を確保したい考えだ。

 このほか、移行期間中であっても、英国の利害に大きく関わるEU規制については、英が事実上、拒否できる権利などを主張した。EUは離脱後は非加盟の英国を特別扱いしない方針で、移行期間のあり方を巡り双方のずれが広がっている。

2018/2/22 9:39 (2018/2/22 13:00更新)
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27231360S8A220C1EAF000/