韓国・現代自動車の2017年の労使交渉が16日、妥結した。労使対立が長引き、史上初の越年決着となった。基本給を月5万8千ウォン(約6030円)引き上げる。上げ幅は前年(7万2千ウォン)を約2割下回る水準に落ちついたが、現代自は米中市場の苦戦で業績が低迷。苦境下でも賃上げを強硬に求める同社労組については、韓国でも批判の声があがる。

 17年労使交渉は、過去30年の歴史の中で初めて越年した。16日未明に、労使の第2次暫定合意案を問う5万人弱の組合員投票が行われ、賛成61%で可決された。16年労使交渉と比べて約3カ月遅い決着となった。

 15万4883ウォンの賃上げを掲げた労組側と、賃上げを極力抑えたい経営側の折衝が長引いた。経営側は、16年通期の連結決算が6年ぶりの低水準だった上に17年も減益基調だと説いたが、労組はストライキで世界戦略車の生産ラインを止めるなどして対抗した。

 労組は計24回のストライキを実施。関係者によると、7万7千台弱の生産に影響が出て、約1兆6200億ウォンの減収要因になったという。労組執行部は「簡単に答えを出す交渉は17年が最後」とコメント。18年にむけ早くも対決姿勢を示した。

 現代自の平均年収は9400万ウォン。賃上げを毎年続けた結果、過去6年間で約18%増え、サムスン電子と並び韓国企業でトップクラスの報酬を誇る。韓国の保守系メディアの間では「すでに世界最高水準の賃金を受け取りながら、引き上げ幅は適切なのか」(中央日報)との論調が目立つ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25752950W8A110C1FFE000/