2017年、世界のスタートアップ企業の関係者の度肝を抜いたのがソフトバンクグループだった。孫正義会長兼社長がサウジアラビアなどと設立した10兆円規模の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」は、米シリコンバレーを中心に次々と大型投資を決めた。だが、孫氏はそれも「助走でしかない」と豪語する。孫氏は胸中に秘めた100兆円ファンド構想とその真意を、記者だけに明かした。
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 「10兆円でも全然足りない。あと2年もすれば使い切るよ。これは第1弾でしかない」。こう言う孫氏が口にしたのが100兆円ファンド構想だった。孫氏得意の大ぼらではなく「僕は今、その実現に一番時間を使っているんだ。まあ、近々分かりますよ」と言う。

■勝ち馬を狙う

 孫氏が17年に設立した10兆円ファンドは、世界中のスタートアップへの年間投資額に匹敵する規模だ。次々と繰り出した投資は1社あたりざっと1000億円。米ウーバーテクノロジーズのように1兆円規模の案件も存在する。

 まさにケタ違いだが、孫氏は共通項があると言う。狙うのは株式非公開企業。例外もあるが、スタートアップがターゲットになる。投資するのは資金調達の「第3ラウンド」あたりだ。
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 孫氏のスタートアップ投資では、米ヤフーや中国アリババ集団など、ビジネスを始めたばかりの「金の卵」を狙い撃ちしてきた。だが、10兆円ファンドは「勝ち馬になることが見えたところで投資する」。これが第3ラウンドの意味だ。「成功確率が高い分、資金がたくさん必要になる。お金の規模自体が勝負のための重要な要素になる」

 ただ、一貫しているのは、投資を決める基準として起業家の資質を見極めている点だ。

 「大きな市場に打って出るビジョンとトップのエンジニアを集められるリーダーシップ」があるかどうか。「リーダーである起業家は、専門家である必要はない」というのが孫氏の考えだ。

 「だって、自分が一番の専門家だと思うと自分より優れた人物を認められなくなり、(企業の成長の)ボトルネックになることもあるでしょう」

 では、なぜファンドなのか。そう問うと孫氏は記者に逆質問してきた。

 「織田信長が他の武将と決定的に違うのが何だか分かりますか」

続きはソースで
2018/1/4 6:30
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25210750Y7A221C1X11000/