これまで最高のウェブブラウザーだと考えられてきた「Google Chrome」。Mozillaが新しく発表した「Firefox Quantum」は、それを上回る“最強”のブラウザーになりそうだ。高速で効率よく使えて、数々の優れた機能をもつこの新しいブラウザーを紹介しよう。

どのウェブブラウザーが優れているのか考えなくなってから、もう何年も経つ。Safariはまあ問題ない。Microsoft Edgeはどうでもいい。恐らくOperaはまだ存在すると思うのだが、どうだろう?

いずれにしろ、高速でシンプルな「Google Chrome」からの乗り換えを決意させるだけのブラウザーはなかった。誰もがそう感じているだろう。ブラウザー市場におけるChromeのシェアは6割近くあり、2位のFirefoxの4倍以上に達している。Chromeはブラウザ戦争で勝利したのだ。

だから新しい「Firefox Quantum」への期待は、それほど高くなかった。Mozillaは新ヴァージョンのスピードとメモリーの効率的な活用について威勢のいい宣伝をしていたが、新しい製品を世に出すときには誰でもそうするし、実際に使ってみればほかと大きな違いがあったためしはない。

もちろん、いかにChromeであろうと、タブを数十個も開いておけば最高のスペックのパソコンでも動作が止まってしまうことはある。だが、Chromeで十分に満足である。いったいFirefoxに何ができるというのだろう?

「高速」との触れ込みは本当だった

しかし実は、性能を向上させる余地は大いにあったようだ。現代人の生活は複数のデヴァイスをもつことが普通になり、超モバイル化している。そうした生活に新しいFirefoxは適応し、ユーザーエクスペリエンスが改善されている。

まず、プライヴァシーに配慮しており、サイトに潜むトラッカーは自動的に阻止される。つまり閲覧履歴がユーザー以外に利用されることはない。Chromeより優れていて、Chromeより速く、Chromeより賢い。新しいメインブラウザーの誕生である。

そして高速化の話は本当だった。最近のデヴァイスは大半がマルチコアプロセッサを搭載しているが、Quantumにはコンピューターの処理能力を最大限に生かすためのさまざまな技術的工夫が施されており、うまく機能している。どんなサイトも期待を上回る速さで表示され、実に効率的だ。人生が変わるほどではないし、Mozillaが誓ったようにChromeより100パーセント確実にいいとまで断言することはできないが、速いと感じられるのは間違いない。

一方で、メモリーの使い方が効率的だというのも実感できた。Chromeの場合、タブを30〜40個も開いていると底なし沼に引きずり込まれるような状態になることがあった。Quantumではタブをいくつ開こうと、スピードが落ちたことはない。

とはいえ、速さと効率化だけではブラウザーの変更に伴う面倒を我慢するだけの動機づけにはならない。Quantumが本当に素晴らしいと思えるのは、サイトを閲覧しているときに使える、どちらかといえば細かな機能だ。

例えば、あるページをスマートフォンで見ていてパソコンでも同じページを開きたいときは、「デヴァイスに送る」をタップして自分のノートパソコンを選べばいい。まるで待ち構えていたかのように、パソコンのバックグラウンドでそのページが開く。

オフラインで読むためにリーディングリストに保存するのも、「Pocket」(今年3月にMozillaが買収した)のような“あとで読む”サーヴィスに追加するのも、どちらも1回のタップで実行できる。Pocketは新しいタブを開いたときに、ユーザーが気に入るかもしれないコンテンツを表示してくれる。ネット上を“漁る”(ブラウズする)というブラウザー本来の機能を思い出させる嬉しい機能だ。

不満をすべて解決するブラウザ

Quantumはパソコンのヘヴィーユーザーをたくさん集めて、ほかのブラウザーについて不満に感じている細かな部分をすべて直すことでつくり上げられたような作品だ。例えば、QRコードの読み取り機能がある。メニューにURLをコピーする項目がついた。スマートフォンで長いURLをコピーアンドペーストしようとした経験があるなら、これがどれほど素晴らしいことか分かるだろう。
以下ソース
https://wired.jp/2017/12/06/firefox-quantum-review/